Y31シーマのマイナーチェンジで何が変わったか紹介します。
すべてにおいて「後期型からはどうなったのか」という視点で書いています。なお、構成上重複している記述があります。
変更点
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車両概要
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車種構成
- マルチAVシステムを標準装備したタイプIIリミテッドAVと、タイプIの上級グレードとしてタイプIリミテッドを追加。
タイプIリミテッドの装備→タイプIに対して助手席パワーシート、非回転スイッチ付ステアリングホイール、ドアミラーワイパー、JBLスピーカー - サンルーフの設定(オプション)。
サンルーフ車の室内高→1110mm(サンルーフ無し車は1150mm)
- マルチAVシステムを標準装備したタイプIIリミテッドAVと、タイプIの上級グレードとしてタイプIリミテッドを追加。
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外観
- 「変わらないことが高級感につながる」と考え、最小限の変更にとどめている。
フロントグリルは、グリル内の横桟の本数を増加 →より一層高級感のある形状とした。
リアコンビネーションランプは、表面のスモークレンズの透過率を向上 →見栄えが明るく印象強くした。
- 「変わらないことが高級感につながる」と考え、最小限の変更にとどめている。
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内装
- インストフィニッシャーおよびパワーウィンドウフィニッシャーを本漆塗り化。またドアアームレストをクロス化。
- 見やすく高級感のあるデジタルメーターを採用(オプション)。
- シート生地の追加および色調を変更。
カーペットおよび本革シートの白色仕様を追加(ホワイトバージョン)。
絹糸を混織したかすり柄の高級織物仕様を追加(シルクバージョン)。
ウールシートの色調を明るく変更。
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カラーデザイン
- 車体色は、従来の8色から11色、内8色を新色とし、イメージを刷新。
パールカラーや深みのある濃い色(ダークリッチ色)とモダンさと質感のある淡い色(ライトリッチ色)を追加 →品質感およびパーソナルイメージを高めた。
- 内装色は、従来に比べて明るくすると共に、パーソナルイメージをより明快に表現するスペシャル仕様として、ホワイトバージョン、シルクバージョンを設定。
- 車体色は、従来の8色から11色、内8色を新色とし、イメージを刷新。
パールカラーや深みのある濃い色(ダークリッチ色)とモダンさと質感のある淡い色(ライトリッチ色)を追加 →品質感およびパーソナルイメージを高めた。
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性能~動力性能
- VG30DE、VG30DETエンジンにオートマチックトランスミッションとの総合制御(DUET-EA)を追加→変速ショックとタイムラグの少ない人間の感性に合った滑らかで落ち着きのある安定した走りを実現。
- VG30DETエンジンは、ターボの軸受けにボールベアリングを採用 →フリクションを軽減し使用頻度の高い中低速域での加速感を向上。
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性能~操縦安定性
- 車速感応式電子制御パワーステアリング(ツインオリフィス式車速感応型)を採用 →据え切りや低速時には軽く、高速時にはしっかりとした路面反力を感じる、人間の感性にあったステアリングシステムとした。
- ビスカスLSD(リミテッド・スリップ・デフ)を標準装備(従来はVG30DETに標準、VG30DEにオプション)。
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整備性、信頼性
- 新車の品質を長時間維持でき、安心して乗れるよう、電子システムの故障診断機能などを充実させ、整備性を向上。
整備性の向上 →「CONSULT(コンサルト)」電子システム診断テスターによる電子部品の故障診断の正確化・容易化。
サービス性の向上 →エンジンルーム内日常点検部位の色彩化(黄色)の採用。 CONSULT(コンサルト)とは、Computerrized On-board System Universal Testerの略で、クルマに搭載されている電子システムの故障診断を簡単にかつ、正確に実施するために開発されたハンドヘルドタイプの小型軽量テスター(別売り)。あらかじめクルマに装備されている診断コネクターにケーブルを接続するだけで、複数のコントロールユニットとデータ交信をして故障診断ができる。
CONSULTの機能 →作業サポート、自己診断、データモニター、アクティブテスト、コントロールユニット部品番号表示
- 新車の品質を長時間維持でき、安心して乗れるよう、電子システムの故障診断機能などを充実させ、整備性を向上。
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新機構・新装備
- デジタルメーターを設定(オプション)。
- ハンドフリー自動車電話(オプション)にフルダイヤル機能を追加し、ハンドセット(受話器)のラインオプションは廃止。
- チルトアップ機能付電動ガラスサンルーフを設定(オプション)。
- ウレタンフッ素樹脂塗装(スーパーファインコーティング)&リアガラスにS.F.Cラベル。
- ビスカスLSDが全車に標準装備。
- オートマチックトランスミッションに入力回転数信号としてタービンセンサーを採用、およびPレンジ保持機構付シフトロックを採用。
- マルチAVシステム →ドライブガイド機能とテレビ、ラジオ、カセット、CDなどが楽しめるAV機能を追加設定(タイプIIリミテッドAVに標準、その他にオプション)。
- 車速感応式電子制御パワーステアリング(ツインオリフィス式車速感応式)を採用。
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車台打刻実施番号
- E-FPY31型車: FPY31-600001~
- E-FPAY31型車: FPAY31-100001~
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型式記号
- 届出記号の通称名において、セドリックシーマ、グロリアシーマの識別を廃止。
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エンジン
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エンジン本体
- シリンダーブロックは、バルクヘッド壁肉厚増大およびリブ形状の見直し →剛性がさらに高まり音振性能が向上。
- コンロッドは、大端部径、小端部径および大端部幅を最適寸法にし、さらに材質を変更 →材料強度を向上させて高回転、高出力化に対応。また、大端部の剛性を高め、高回転時における大端部径およびベアリングの変形を抑えた。
- コンロッドベアリングは、材質を変更。
- クランクシャフトは、材料を変更 →材料強度が向上し、高回転、高出力化に対応。また、各部の肉厚を増大して剛性を向上。#2、#4のカウンターウエイトは一体構造にした。
- メインベアリングは、材質を変更。
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潤滑系
- エンジンオイルの定期交換時期を一部変更。
VG30DETターボ付車のエンジンオイル定期交換時期を、SG級(高品質グレード)オイルに限り、10,000kmまたは1年毎とした。
- エンジンオイルの定期交換時期を一部変更。
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吸排気系
- VG30DEは、サージタンクの材質が従来の樹脂製から板金製に変更 →信頼性が向上。また、パワトラ取付面の形状を変更。
- VG30DETは、チューブ型レゾネーターの形状を変更 →吸入空気音の低減および音振性の向上。
- VG30DETは、改良型のハイフローセラミックボールベアリングターボチャージャー(FCNRB-1型)を採用 →加速応答性の向上。
従来のハイフローセラミックターボ(FCNR-1型)の軸受け部をフローティングメタル式から、ボールベアリングタイプに変更(FCNRB-1) →軸受部の損失低減を図り、低中速域での加速応答性が向上。
<参考>FCNRB-1とは、Fat Ceramic Nissann turbo charger high Response Ball bearingを意味し、従来のFCNR-1型の改良型であることを示す。
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ECCS系統
- エンジンとA/Tの総合制御(DUET-EA)システムを採用 →高負荷における変速ショックが低減し、運転性が向上。
変速時にエンジントルクを低下させ、変速ショックを低減。 - ECCSコントロールユニットの小型化およびコネクタの形状を改良 →信頼性の向上(SMJ型76極タイプ)。取付位置は、ダッシュサイド左下。
- 従来の自己診断システムを改良し、新開発の電子システム診断テスターCONSULT(コンサルト)に対応する診断機能を採用 →自己診断システムの性能が大幅に向上。
通常の自己診断など2モードの診断採用により操作性が向上。電子システム診断テスターCONSULTのスイッチON/OFF項目を充実。モードの切り換えは、診断コネクタからでも可能(従来はECCSコントロールユニットの調整ボリュームのみ)。表示は排気温度警告灯に変更(従来はオイルプレッシャーランプ)。
- エンジンとA/Tの総合制御(DUET-EA)システムを採用 →高負荷における変速ショックが低減し、運転性が向上。
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エンジン電装
- VG30DE、VG30DETのインジェクター駆動回路に外付けドロッピングレジスターを採用 →消費電力の低減。取付位置は、エアフローメーター下フードレッジ上。
- スターターモーターは、標準仕様、寒冷地仕様ともに三菱製を廃止し、日立製に統合。
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冷却系統
- 変更点はなし。
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燃料系統
- 変更点はなし。
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排気系統
- メインマフラーASSYに、ダイナミックダンパーを採用 →アイドル時の車室内騒音を低減。またこれに伴い、メインマフラー前部のチューブに、ダイナミックダンパー取付用ブラケットを追加。
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シャシー
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オートマチックトランスミッション
- タービンセンサーの採用に伴う制御内容を改良
RE4R01A型およびRE4R03A型オートマチックトランスミッションにタービンセンサーを採用。タービンセンサー付きA/Tは入力軸の回転をタービンセンサーで読み取り、A/Tは入力軸内部の状態を正確に把握することが可能になった →変速ショックが低減し、更に滑らかなA/Tを実現。
タービンセンサーとは、タービンライナー、またはインプットシャフトの回転速度(入力軸回転速度)を判定するセンサー。 - エンジンA/T総合制御(DUET-EA)システムの採用
急発進、急加速時にエンジンのECCSコントロールユニットとA/Tコントロールユニット間で、エンジン出力制御信号(点火時期リタード)の相互通信を行い、車両の走行状態に応じたリアルタイム連携制御により変速フィーリングを向上。 - ファジー制御の採用
登板路走行時、頻繁な3速~4速の変速を防止 →スムーズな走行が可能になった。具体的には、スロットル開度が大きく、かつ加速度が小さい時にA/Tコントロールユニットが登板路と判断し、OD(4速)への変速を禁止する。
ファジー制御とは、あいまい(不確実)な情報をもとにして制御する、最新の制御方法。 - Pレンジ保持機能付シフトロックの採用
シフトロック機能:キースイッチが「ON」で、ブレーキを踏んでいないと、A/Tセレクトレバーが「P」から動かせない。また、キースイッチが「OFF」またはキーがない状態では、「P」から動かせない。
キーロック機能:キースイッチを「OFF」にしても、A/Tセレクトレバーを「P」にしないと、キーが抜けない(2操作ボタンが押せない)。
リバースブザー:キースイッチが「ON」でA/Tセレクトレバーを「R」にした時に、ブザーが断続的に鳴る。
シフトロックの採用に伴い、A/Tセレクトレバー前部にシフトロック解除ノブを追加。
※前期型の途中からシフトロックは採用されたが、解除ノブはない。
- タービンセンサーの採用に伴う制御内容を改良
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電子制御エアサスペンション
- エアサスコントロールユニットの改良
エアサスの自己診断機能において、フェイルセーフ項目を表示。
走行中、特定の項目が異常となり、フェイルセーフが作動した場合、その項目を記憶し、自己診断開始操作を行うとインジケータの点灯、点滅で表示する。
パワーステアリングの制御方法変更により、エアサスコントロールユニット内に組み込まれているパワステ制御回路を変更。
- エアサスコントロールユニットの改良
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ステアリング
- 車速感知式電子制御パワーステアリングの採用
従来の流量制御式電子制御ポンプに対し、バルブ感度制御式のツインオリフィスタイプロータリーバルブを採用 →シンプルな構造で、最適な操舵力とした。
通常走行中に車速信号が約10秒以上入らない場合の操舵力を変更 →車速100km/h以上での操舵力を確保(従来は車速30km/h~60km/hでの操舵力を確保)。
- 車速感知式電子制御パワーステアリングの採用
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ボデー
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塗装
- ウレタン・フッ素樹脂塗装の採用
高級車にふさわしい塗装の外観仕上がりを実現させるべく、上塗りクリアーにウレタン・フッ素樹脂塗装(車体色:CHO=イエロイッシュホワイトを除く)を採用 →鮮映性および耐候性を向上。
当該車両には、ペイントコーションラベル(塗装補修時のご注意)をエンジンルームに、S.F.C(スーパーファインコーティング)ラベルをリアウィンドウに貼り付け。
- ウレタン・フッ素樹脂塗装の採用
高級車にふさわしい塗装の外観仕上がりを実現させるべく、上塗りクリアーにウレタン・フッ素樹脂塗装(車体色:CHO=イエロイッシュホワイトを除く)を採用 →鮮映性および耐候性を向上。
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外装
- フロントグリルの横桟が2本から4本に増加 →一段と格調の高いデザインとした。
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開閉機構
- 電動ガラスサンルーフ(チルト&スライド)を採用(メーカーオプション)。
- ファッションキーをステンレス製に変更(前期は真鍮製で表面に錆や指紋による黒ずみが出ないような表面処理がなされただけ)。
- カードエントリーシステムは、エントリーカードは登録方式とし、万一、エントリーカードを紛失した場合でも、新しいカードの再登録が可能。エントリーカードは2枚まで登録可能で、1枚をスペアカードとして使用できる。また、自己診断機能を追加し、整備作業を容易にした。前期型にあったドアミラー内蔵アンテナは、センターピラーアッパーガーニッシュ裏側(ハードトップ)、ドアインナーパネル(セダン)に移動した(後期のカードエントリーシステムは前期との互換性なし)。
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ボデー内装
- 本漆塗りの採用
採用部品:インストフィニッシャー、グローブボックスリッド、フロントコンソールフィニッシャー、クラスターリッドC(マルチAVシステム付車以外) - マルチAVシステム付車には専用のクラスターリッドCを設定。
- フロアカーペットは、タイプIIリミテッドのホワイトバージョン(ホワイト仕様車)にシートおよびドアフィニッシャーの表皮材に合わせて、ホワイトカーペットを採用。
- ドアフィニッシャーは、中はぎ部の表皮材として、白色の本革およびシルクをタイプIIリミテッドのホワイト&シルクバージョン(ホワイト&シルク仕様車)に採用。パワーウィンドウフィニッシャー、パワーシートスイッチおよびリアドアアシュトレーの表面に本漆塗り →高級感の向上。
- シートは、ウールモケット材の色調を淡色化。また、表皮材として、白色の本革およびシルクをタイプIIリミテッドのホワイト&シルクバージョン(ホワイト&シルク仕様車)に採用。
- ステアリングホイールのロゴ部分の背景色を変更。前期型はホーンパッド・内装色に似た色→後期型は黒色。
- キッキングプレートの留め具を変更。
前期型は金属製のスクリュービス→後期型は樹脂製のクリップ。
- トランク リア フィニッシャーの変更。
フィニッシャー裏に緩衝材を貼り付け。前期型は緩衝材なし。
- 本漆塗りの採用
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ボデー電装
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配線関係
- 下記リレーの取付位置を変更。
- IGNコイルリレー(全車)
- エアサスカットバルブリレー(エアサス付車)
- カードエントリーリレー1・2(カードエントリー付車)
- テールランプリレー(全車)
- バルブチェックリレー(全車)
- コーナリングランプリレー(全車)
- 電子フラッシャーユニット(全車)
- 下記リレーおよびユニットを新設。
- AVリレー(マルチAVシステム付車)
- AVコントロールユニット(マルチAVシステム付車)
- ドライブガイドコントロールユニット(マルチAVシステム付車)
- サンルーフリレー(サンルーフ付車)
- バッテリーのプラス端子カバーを変更。
前期型は赤いビニール製→後期型は赤い樹脂製(例外あり?)
- 下記リレーの取付位置を変更。
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ステアリングホイールスイッチ
- タイプIリミテッドに非回転スイッチ付ステアリングホイールを採用 →オーディオ関係のスイッチが付いた。
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ランプ類
- コーナリングランプ回路とターンシグナルランプ回路を独立し、回路を簡素化。
- 電子フラッシャーユニットとその周辺回路を変更。
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計器類
- 見やすく高級感のあるデジタルメーターを採用(メーカーオプション)。
- コンビネーションスイッチの形状を変更。
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スイッチ類
- 背景の色を白色から黒色に変更。リアデフォッガースイッチ、フォグランプスイッチ、ハザードスイッチ、イルミネーションコントロールスイッチなど。
- 電子フラッシャーユニットの変更に伴い、ハザードスイッチ内部の回路を変更。
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ウィンドウ装置
- フルコンシールド~セミコンシールドの切り換え可能な、フルコンシールドワイパーを採用。
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ハンドフリー自動車電話
- ハンドセットがなく、ハンドフリー通話のみが可能なハンドフリー自動車電話を設定(メーカーオプション)。また、ハンドフリー電話を取り付ける後席用ハンドセット電話も設定(ディーラーオプション)。
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オーディオシステム
- カセット一体型AM-FM電子チューナーラジオをニューモデルにした。
従来:クラリオンCL027、リアアンプ対応型クラリオンCL017 →新:クラリオンCK199 - ラジオ局名表示付電子TVチューナー(プリセットイコライザー内蔵)が変更され、ラジオ局名表示付電子TV-短波チューナー(プリセットイコライザー内蔵)を設定。
従来:クラリオンCW017 →新:クラリオンCW019 - CDプレーヤーがニューモデルになった。
従来:ソニー →新:ソニーAV018 - スピーカースイッチングユニットを廃止し、電子チューナーラジオに内蔵した(マルチAVシステム付車はAVコントロールユニットに内蔵)。
- カセット一体型AM-FM電子チューナーラジオをニューモデルにした。
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マルチAVシステム
- マルチAVシステムをタイプIIリミテッドAVに標準、その他の車種にメーカーオプションとして設定。
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空調
- オートアンプ(エアコン操作パネル)にCD操作スイッチおよび表示部が付いた(マルチAVシステム付車)
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