公開日:2005年1月11日
最終更新日:2019年4月8日

後期から一部機能が追加されました

エアサスの自己診断機能

Self-diagnosis function of the Air-suspension

カテゴリー : 基本資料

E-FPAY31シーマ、E-PAY31セドリック・グロリア(電子制御エアサスペンション装着車)に適用

概要

整備性の向上を図るため、電子制御エアサスペンションのシステムには異常箇所を検索する機能が組み込まれています。診断だけなら工具などは一切いらないので簡単です。

診断結果は車高インジケータとエアサススイッチのHIGH、SPORTY、NORMALの計4つのインジケータの点灯、点滅、消灯で表示されます。
診断項目は20項目以上あり、すべて正常なら4つすべて点灯します。異常箇所が複数あるときは、2秒おきに表示が切り替わります。

シーマの後期型からは、エアサスコントロールユニットの制御内容の一部が変更され、フェイルセーフ項目の表示機能が追加されました。フェイルセーフとは、システムの特定の項目に異常が発生した場合の二次故障を防止する機能です。この機能が働くと異常のあった故障部位(フェイルセーフ項目)がエアサスコントロールユニットに記憶され、この自己診断機能で呼び出せます。
なお走行中にフェイルセーフ機能が作動し、その後正常になった場合でも表示されます(記憶されるため)。

自己診断の進め方

(水色点線部分はシーマ後期型のみの機能)

自己診断要領

準備

  1. クルマを平らな場所に駐車してエンジンを切る。A/Tセレクトレバーは「P」の位置にし、駐車ブレーキは解除しておく。

  2. エアサスキットを外す。フィールド技研のエアサスキットAH-2ならキット本体につながっているコネクタを抜くだけでOK。

自己診断開始条件を入力する

  1. ドアをすべて閉める。

  2. キースイッチを一度「OFF」にしてからエンジンをかける。

  3. 始動直後から10秒以内にエアサススイッチの「SPORTY」ボタンをゆっくり5回押す。

上記の操作をすると4つのインジケータすべてが点灯するので、診断項目を入力していきます。→「診断項目の入力」へジャンプ

シーマの後期型は、上記の操作をすると過去にフェイルセーフ機能が作動した記憶が残っている場合は4つのインジケータすべてが点滅し、フェイルセーフ項目の表示が開始されます。また、過去にフェイルセーフ機能が作動しなかった場合には4つのインジケータすべてが点灯するので、診断項目を入力していきます。→「診断項目の入力」へジャンプ

上記の操作をしたのに点灯も点滅しない場合は、もう一度、キー操作からやり直します。

フェイルセーフ項目の表示(シーマ後期型のみ)

自己診断開始条件の入力後、過去にフェイルセーフ機能が作動した場合は、次表の項目についてキースイッチを「OFF」にするまで繰り返し表示されます。なお、表示された項目(記憶)はキースイッチを「OFF」にすると消えてしまうので、必ずメモしておきます。

表示順序
No.
診断部位 インジケータ
車高 HIGH SPORTY NORMAL
2 転舵角センサー
10 ショックアブソーバー 前右
11 前左
12 後右
13 後左
14 車高センサー 前右
15 前左
16
17 圧力スイッチ、コンプレッサー、排出バルブ
※インジケータの表示=●:点灯、◎:点滅、○:消灯

フェイルセーフ項目の表示解除(シーマ後期型のみ)

キースイッチを「OFF」にすると表示が解除され、エアサスコントロールユニットに記憶されていたフェイルセーフ項目は消去されます。

異常部位の点検

詳しい原因がわからなかったり、まったく見当が付かなければ掲示板で呼びかけてみてください。自分で整備できない、部品の交換が必要などの場合はディーラーや整備工場で診察してもらいます。

診断項目の入力

  1. ステアリングホイールを左右各々90°以上回す。

  2. フットブレーキを踏み、戻す。

  3. パーキングブレーキレバーを引き、戻す。

  4. 運転席ドアを開き、閉める。

  5. アクセルペダルを踏み、戻す。

  6. A/TセレクトレバーをP←→Dを往復させる(このとき、フットブレーキを踏んで行う)

  7. エアサススイッチのNORMAL、SPORTY、HIGHボタンを各一回押す。

  8. 5m以上前進又は後退する。

いったい何をやらせるんだって思うかもしれませんが、これらはエアサスコントロールユニットへの入力信号をテストするために必要な操作ですので、必ず行ってください。なお、これ以外の診断項目は自動的に入力されます。

インジケータの読み取り方

インジケータの読み取りは、8分間以上経過してから行います。8分間以内ではNo.17以降の項目が正常でも異常表示する場合があるからです。

異常箇所が複数ある場合は2秒おきに表示パターンが変わります。

〈表示例〉

1.転舵角センサーストップランプスイッチスロットルバルブスイッチが異常な場合

全点灯 No.2 No.4 No.7 No.2 No.4 No.7 No.2 ・・・
←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→ ←2秒→

2.すべて正常な場合

全点灯 全点灯・・・
←2秒→

自己診断結果の表示

異常のある部位を次表のとおり、車高インジケータとエアサススイッチのHIGH、SPORTY、NORMALの計4つのインジケータにより点灯、点滅で表示されます。ただし、No.17以降の項目で2箇所以上異常のある場合、表示順序の早い診断部位のみ表示され、次に表示されるべき診断部位は修理後再度自己診断することで表示されます。

表示順序
No.
診断部位 インジケータ
車高 HIGH SPORTY NORMAL
1 車速センサー(車速パルス)
2 転舵角センサー
3 エンジン回転信号(ECCSパルス)
4 ストップランプスイッチ
5 パーキングブレーキスイッチ
6 ドアスイッチ
7 スロットルバルブスイッチ
8 インヒビタースイッチ
9 エアサススイッチ
10 ショックアブソーバー 前右
11 前左
12 後右
13 後左
14 車高センサー 前右
15 前左
16
17 圧力スイッチ、コンプレッサー、排出バルブ
18 供給バルブ 前右
19 前左
20
21 カットバルブ 前右
22 前左
23
※インジケータの表示=●:点灯、◎:点滅、○:消灯

たとえばNo.16の車高センサー(後)が異常な場合は、車高インジケータは消灯、エアサススイッチのHIGHとSPORTYインジケータは点滅、NORMALインジケータは点灯となります。すべての異常が表示されると、すべてのインジケータが2秒間点灯し、再び表示順序の若い番号から表示されます。

自己診断の解除

キースイッチを「OFF」にするか、時速30km以上で走行すれば診断は終了します。
もう一度診断したいときは、自己診断開始条件の入力から始めます。