中で減衰力を切り換えてます
ショック アブソーバー
Shock Absorber (コネクタ表)
E-FPAY31シーマ、E-PAY31セドリック・グロリア (電子制御エアサスペンション装着車)に適用可能

フロント右ショックアブソーバーのカバー
ここで紹介しているショックアブソーバーは、電子制御エアサスペンション用のショックアブソーバーです。3段階ある減衰力を電動で変えられるため、減衰力可変型ショックアブソーバー(アジャスタブルショックアブソーバー)とも呼ばれています。

ショックアブソーバーコネクタ (ショックアブソーバーの中にモーターとセンサーが組み込まれています)
ショックアブソーバーコネクタはショックアブソーバーのてっぺんにあります。かなり細い線コードでエアサスコントロールユニットと結ばれています。中間にコネクタがありますが、そこまでのコード群をサブハーネスと呼び、そこからエアサスコントロールユニットまでのコード群をメインハーネス、または単にハーネスと呼びます。
周辺回路図


リアショックアブソーバーのサブハーネス (コードが細いので取扱注意!)
端子配置図
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 (全輪共通) |
サブハーネスコネクタ (ショックアブソーバー側)と端子配置図 (ショックアブソーバーにささっているコネクタをコード側から見た図)
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サブハーネスコネクタ(フロント)(メインハーネス側)と端子配置図 (フロントショックアブソーバーメインハーネスとつながっているコネクタ)
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サブハーネスコネクタ(リア)(メインハーネス側)と端子配置図 (リアショックアブソーバーメインハーネスとつながっているコネクタ) |
ショックアブソーバーに内蔵されているモーターは正回転のみです。
センサーで現在の減衰力を監視しながらモーターを回転させています。例えば、ハードにするときは、端子No.3は約5V、No.4は0Vになるまでモーターを回転させる、ということをエアサスコントロールユニットが行っています。 (2004/10/19訂正)
コネクタ表
端子 No. |
名称 |
コード |
電圧 |
内容 |
色 |
帯 |
太さ |
1 |
モーター電源入力 (+) |
白 |
- |
細 |
12V/0V |
減衰力を切り換えるためのアクチュエーターモーターのプラス端子につながっている。
減衰力の切り換え中に12V。それ以外のときは0V。 |
2 |
モーター電源入力 (アース) |
黒 |
- |
細 |
0V |
減衰力を切り換えるためのアクチュエーターモーターのマイナス端子につながっている。
常に0V。 |
3 |
センサー出力(SOFT) |
青 |
- |
細 |
約5V/0V |
減衰力がソフト・ミディアムになっているときは端子No.5とつながって0V。
減衰力がハードのときは約5V。(2004/10/19訂正) |
減衰力がミディアムになっているときは端子No.3と端子No.4のどちらも0Vとなる。 (2004/10/19訂正)
電圧降下が激しいため、リレーをつなげることはできない(約1Vまで降下する)。 |
4 |
センサー出力(HARD) |
赤 |
- |
細 |
約5V/0V |
減衰力がハード・ミディアムになっているときは端子No.5とつながって0V。
減衰力がソフトのときは約5V。(2004/10/19訂正) |
5 |
センサー出力 (アース) |
緑 |
- |
細 |
0V |
常に0V。 |
モーターが故障するとどうなるか
3段階ある減衰力をモーターで切り換えていますので、モーターが故障すると減衰力は変化しなくなります。そしてそのショックアブソーバーの減衰力は、モーターが故障した時点の減衰力のままとなります。これはどうにもなりませんが、問題は、他の正常なショックアブソーバーにも影響が出てしまうということです。
キースイッチを「ON」にすると、4輪すべての減衰力は一度ハードにリセットされてプチ診断が行われ、その結果、1ヶ所でも異常が見つかるとフェイルセーフ機能が作動して、他の正常なショックアブソーバーの減衰力がミディアムに固定されてしまいます。このプチ診断は走行中にも行われていて、やはりモーターが作動しなくなるとミディアムに固定されてしまいます。この状態ですと、ハードになるべき走行状況でもまったくハードになりませんので、乗り心地が甘くなります。
モーターが故障しているかどうか調べる方法
モーターが故障すればミディアム固定になりますので、エアサスキットの減衰力モニターが常にミディアムを示していれば、モーターが故障している可能性があるといえます。
エアサスキットを装着していない、もしくは、装着しているが減衰力モニターはない、という場合は、エアサスの自己診断機能でショックアブソーバーの異常を見つけることができます。
モーターが故障しているようだ、と初めからわかっているようなときには、キースイッチを「ON」にしてから約3秒後にハードからミディアムに切り換わるときの音を耳で確認します。
キースイッチを「ON」にしてすぐにタイヤハウスに耳を近づけ、約3秒後に「ジー」というモーター音が聞こえた場合は、そのショックアブソーバーは正常で、減衰力がミディアムにセットされたことを意味しています。この方法で4輪とも耳で確認し、「ジー」音が聞こえなかったところが異常であることがわかります。なお、モーターではなくセンサーが故障した場合はこの限りではありません。また、4輪とも正常な場合は、約3秒たっても「ジー」音は聞こえません。
周囲の騒音で音が確認できない場合は、クルマの四隅を手で上下に揺すって減衰力を確認する方法があります。キースイッチを「ON」にしてから約3秒以内のクルマの揺れ方と、それ以降の揺れ方を比較し、柔らかくなったときはハードからミディアムに制御されたことを示しています。
故障しているのはモーターなのかセンサーなのか調べる方法
エアサスの自己診断機能などで、ショックアブソーバーに異常があることがわかっても、それがモーターの故障なのかセンサーの故障なのかわからないことがあります。この場合は前述のような確認方法がありますが、もっと的確な方法があります。
それは、モーターに直接バッテリーをつなげてみることです。中間コネクタを抜いてエアサスコントロールユニットを切り離しておき、モーターのプラス側(端子No.1)にバッテリーのプラスを、モーターのマイナス側(端子No.2)にボデーアースをつなげてみます。正常なら「ジー」というモーター音がしますが、故障している場合は音はしません。モーターが回りにくくなっている場合もありますので、プラスマイナスを逆につないでちょっとだけ逆回転のショックを与えてから、元に戻すと回り出すこともあります。
テスターを持っていれば、モーターの両極の抵抗を測ってみて、0Ωに近ければ正常、30kΩ〜300kΩ以上なら故障だとわかります。
モーターが正常だとわかれば、センサーに疑いがかかります。モーターに直接バッテリーをつなげて回転させながら(つまり減衰力を変化させながら)、センサーの出力(端子No.3、端子No.4)にテスターをつないで電圧を確認してみます。モーターの音がしているにも関わらず、電圧が変化しない場合は、そのセンサーが故障していると判断できます。
モーターやセンサーが正常でも内部のオリフィスが壊れて減衰力が変化しないこともあります。これはエアサスの自己診断機能で見つけることはできません。乗り心地やボディーを揺すってみてその揺れ方で判断するしかありません。
モーターが故障してもミディアム固定にさせない裏技
モーターが故障している場合は、センサーの出力が変化しないので、そのことによってエアサスコントロールユニットはショックアブソーバーに異常があると判断し、普通に走れるように(?)正常なショックアブソーバーの減衰力をミディアムに固定してしまいます。
これを回避するには、異常のあるショックアブソーバーのコネクタを抜き、正常なショックアブソーバーのコネクタはそのままに、センサーの出力どうしをつなぎます。具体的には端子No.3どうし、もう一つは端子No.4どうしつなぎます。
こうすることによって、正常なショックアブソーバーの減衰力制御は通常通り行われるようになります。
ただし、この裏ワザ的ごまかし配線は、キー「ON」時などに行われる”プチ診断”はごまかせても、エアサスの自己診断機能はごまかせませんのであしからず。
2005年、リア左のショックアブソーバーのモーターが故障し、ごまかし配線をしましたのでこちらも参照ください
センサーのコードが断線するとどうなるか
サブハーネスの断線、サブハーネスの断線2
を参照ください。
関連ページ
基本資料 〜 電子制御エアサスペンション
基本資料 〜 エアサスの自己診断機能
基本資料 〜 エアサスのハード固定
コネクタ表 〜 エアサスコントロールユニット
メンテナンス 〜 リアショックアブソーバーの減衰力切替モーターの故障
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