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公開日:2004年9月12日
最終更新日:2012年9月19日

これで面白くなる、もっと乗りたくなる

エアサスのハード固定
(基本を超えた基本資料)

E-FPAY31シーマ、E-PAY31セドリック・グロリア
(電子制御エアサスペンション装着車)に適用可能


果たしてカーブでのロールが抑えられるか・・

はじめに

フワフワして乗り心地が悪いと感じたことは誰でも一度はあるでしょう。エアサスキットで車高を下げても、根本的な堅さは変わらないので、逆にフワフワ感が強調されてしまう場合もあるようです。フワフワしたまま我慢して乗っておられる方や、我慢できず車高調を検討している方は、ここのハード固定を試されることをオススメいたします。

ハード固定が思いついたのは、ディーラーでショックアブソーバーを交換してもらった後でした。 エアサスキットの減衰力インジケータの表示がおかしくなり、乗り心地が堅くなったように感じたのです。調べてみるとショックアブソーバーにつながっているコードが断線していました。

 


ショックアブソーバーハーネスの断線、これがきっかけとなった

どうやら、ショックアブソーバーを交換する際にちぎってしまったようです。この事態で「コネクタを抜けばハードになるんだ」ということがわかったのです。


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エアサスの基本を書いた電子制御エアサスペンションのページはもうご覧になりましたか?。ハード固定にする方法を読む前に、制御内容などをマスターしておいてください。


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目次

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バネ定数をハード固定にする方法

減衰力をハード固定にする方法



バネ定数をハード固定にする方法

バネ定数とは、荷重に対するスプリング(エアサスペンションの場合はエアスプリング)の伸縮関係を数値で表したもので、数値が大きいほど堅いスプリングといえます。

エアサスペンションのバネ定数は、圧縮したエアのバネ効果を利用してしています。ハードとソフトの2段階あり、エアスプリングの空気室の圧力で変化させています。

圧力を変化させているのは、カットバルブという構成部品です。カットバルブとは、電気で空気弁を開けたり閉じたりするソレノイド部品です。エア通路を遮断(カット)することからそのような名前がついているのでしょう。

カットバルブは、各輪のサブタンクに取り付けられていて、空気室とサブタンク間のエア通路を開けたり閉じたりしています。エア通路を閉じると圧力が高めになり、バネ定数はハードになります。反対にエア通路を開けると、通路が確保されて空気が流れるため、圧力が低めになり、バネ定数はソフトになります。停車中(キー「ON」時)はカットバルブは作動してソフトになっています。



カットバルブ周辺配線図

 

 

いよいよハード固定

カットバルブが作動するとエア通路が開いてバネ定数はソフトになり、非作動時はエア通路が閉じてハードになります。ということは、カットバルブを作動しなくすれば、常にハードになるということです。カットバルブは合計4個ありますが、一元管理で制御されていますので、根本の1ヶ所をいじれば4個に影響します。



カットバルブリレー(奥)とカットバルブ用ヒューズ(手前)


カットバルブを作動しなくする方法を次に挙げます。どれか1つ実施すれば、バネ定数がハード固定になります。


●カットバルブ用のヒューズを抜く(簡単なのでオススメ!)

エンジンルーム内のヒューズ#35(A.SUSP/TAXI.ILL)を抜きます。

こうするとカットバルブに電気が流れなくなりますので、バネ定数はハード固定になります。

このとき、カットバルブリレーは生きていますが、リレーが作動しても意味がなくなっていますので、ハード固定になることには違いありません。


●カットバルブリレーを取り外す

エンジンルーム内のリレーボックスの「A.SUSP. RELAY」と書いてあるところのリレー(茶色)を抜きます(マイナスドライバーなどでリレーのツメを押しながら上に引っ張ります)。

こうするとカットバルブリレーが作動せずカットバルブに電気が流れなくなりますので、バネ定数はハード固定になります。


●カットバルブ(リレー)制御信号のコードをカットする

エアサスコントロールユニットの端子No.26「カットバルブリレー制御信号」のコード(橙/青)をカットします。

こうするとカットバルブリレーが作動せずカットバルブに電気が流れなくなりますので、バネ定数はハード固定になります。



ハード固定にしてみて

とても足腰がしっかりとした乗り心地になり、安心して運転できるようになりました。
ノーマルではカーブ走行中でもソフトだったバネ定数ですが、常にハードにしてからは、少しはロールが抑えられているのではないかと思います。
いままでの挙動不審的なフワフワした揺れ方は何だったんだろう?と思ってしまうほどの変化です。

これらの方法でバネ定数をハード固定にすると、エア通路が閉じたままになりますので、空気が流れず、車高制御ができなくなるはずなのですが、愛車ではNORMAL〜HIGHのアップダウンともに正常に機能しています。

問題点があるとすれば・・・
通常、路面の状態は車高の変化で把握し、エアサスコントロールユニットショックアブソーバーの減衰力を変化させて乗り心地を確保しています。ハード固定にすると、足回りが固くなり、車高の変化量が減るため、路面の状態が把握しにくくなります。よって減衰力が、エアサススイッチがNORMALの時はソフト、SPORTYの時はミディアムから、変化しにくくなる可能性があります。多少の段差を越えても減衰力がソフト(またはミディアム)のままということが起こり、若干、慣れないと不自然さがあります。エアサスキットで車高を落とすとこの不自然さも変わってくるので、いろいろと試してみるのが良いでしょう。
(2012年9月追加)


エアサススイッチでハード固定に


運転しながらハード固定にできたらいいなと考え、エアサススイッチを「SPORTY」にしたときにハードに固定する仕掛けを追加しました。

詳しくはエアサスのバネ定数コントローラ(追加装備)をご覧ください。

 

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減衰力をハード固定にする方法

ショックアブソーバーは、スプリング(エアサスペンションの場合はエアスプリング)の振動を早く抑え込んで、安定した乗り心地と操縦性を確保する働きをしています。

減衰力とは、振動を抑え込む力(体感的には堅さ)を数値で表したもので、数値が大きいほど堅いといえます。

減衰力は、ショックアブソーバーの内部に設けられたオリフィス(オイル通路)の大きさに依存します。オリフィス径が大きいと抵抗は小さく、径が小さいと抵抗は大きくなります。
このように、オリフィスの径を変えられる構造のものを減衰力可変型ショックアブソーバー(アジャスタブルショックアブソーバー)と呼びます。
Y31系のエアサス車には、減衰力可変型ショックアブソーバーが装着されていて、減衰力をハード、ミディアム、ソフトの3段階に変化させることができ、通常は全自動で切り換えています。

オリフィスと同様にショックアブソーバーの内部には、モーターとセンサーが設けられています。

モーターは、オリフィス径を変化させるための部品です。モーターが停止すると、そのときの減衰力は保持されます。
センサーは、オリフィス径の状態を検出するための部品です。

停車中(キー「ON」時)の減衰力はハードになっています。ただし、フェイルセーフ機能が働いているときは停車中も走行中も常にミディアム固定になりますので、この場合はちょっとややこしくなります。


 



ショックアブソーバー周辺配線図
(ショックアブソーバーの内部にはモーターとセンサーが内蔵されている)

 


いよいよハード固定

走行中はモーターが作動してオリフィス径が変化し、減衰力がソフトになったりハードになったりします。ということは、ハードになっている停車中にモーターを作動しなくすれば、常にハードになるということです。




ショックアブソーバーサブハーネスのコネクタ(フロント、リア)


モーターを作動しなくする方法を次に挙げます。どれか1つ実施すれば、減衰力がハード固定になります。


各ショックアブソーバーサブハーネスのコネクタを抜く(簡単なのでオススメ!)

各輪のショックアブソーバーの最上部から出ているコードの15cmほど先にあるコネクタを抜きます。

こうするとモーターに電気が流れなくなりますので、オリフィスはハードの位置で保持され、減衰力はハード固定になります。

この方法では合計4個のコネクタを抜かなければなりませんが、抜いたところのショックアブソーバーだけがハード固定になりますので、前輪のみや後輪のみハードにしたい、といった好みに応じた設定ができます。ただし、コネクタを1ヶ所でも抜くと、キー操作時にフェイルセーフ機能が作動してしまいますので、その影響で、抜かなかったショックアブソーバーはミディアム固定になります。ミディアム固定になった状態でコネクタを抜いてもハード固定にはなりません。


フェイルセーフ機能が作動してミディアム固定になってしまったショックアブソーバーをハード固定にする方法

通常はキースイッチを「ON」(エンジンはかけなくてよい。以後も同じ)にするとそれまでの減衰力がどんな状態であれハードに設定されます。しかし、ショックアブソーバーのモーターが故障していたり、コネクタを1ヶ所でも抜いていたりすると、キースイッチを「ON」にしてから約3秒後にフェイルセーフ機能が作動し、他の正常なショックアブソーバーの減衰力はミディアムに設定されます。一度ミディアムに設定されると、停車中も走行中も常にミディアム固定になります。

このようなときは、キースイッチを「ON」にしてから3秒以内に「OFF」にすれば、フェイルセーフ機能が作動する前なので、まだハードに設定された状態になっています。この状態でショックアブソーバーのコネクタを抜けばハード固定になります。


エアサスコントロールユニットの12Pコネクタを抜く

エアサスコントロールユニットには3個のコネクタが差し込まれていますが、その内の12Pコネクタを抜きます。

こうすると各輪のモーターに電気が流れなくなりますので、オリフィスはハードの位置で保持され、減衰力はハード固定になります。

この12Pコネクタには、全輪分のショックアブソーバーのモーターとセンサーのコードがつながっていますので、一度にすべてのショックアブソーバーの減衰力をハードにできます。ただし、フェイルセーフ機能が作動しているとき(停車中もミディアムになっているとき)はハード固定にできませんので、前述の方法でハードに設定してから12Pコネクタを抜きます。


ハード固定にしてみて

左右の窓ガラスがガクガクするくらい堅くなりました。堅すぎるので乗り心地は良いとは言えません。
ノーマルでもカーブ走行中は自動的にハードかミディアム側に制御しているので、常にハードにしても変化ないだろうと思っていましたが、少しはロールが抑えられているのではないかと思います。



関連ページ

基本資料 〜 電子制御エアサスペンション
基本資料 〜 エアサスの自己診断機能
コネクタ表 〜 エアサスコントロールユニット
コネクタ表 〜 ショックアブソーバー
追加装備 〜 エアサスのバネ定数コントローラ

 

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