車速信号とは
クルマの速度を知ることができる電気信号です。
車速信号は、車速センサーからの16パルス信号と、それをコンビネーションメータで変換した2パルス信号の2種類があります。
車両の各コントロールユニットは2パルスの車速信号を使っています。
社外ナビなどに接続する"車速信号"は、たいていは2パルスの車速信号を使います。
車速信号の正体は?
少々ややこしくなりますが、単体のコンビネーションメータの端子No.a1-3(2パルス信号)から出力される車速信号には電圧はありません。テスターで電圧を計ってみても0V(限りなく0Vに近い値)です。つまり、電圧のあり/なしを出力しているのではありません。
では何を出力しているのかと言うことになりますが、それは、アースに落とすか落とさないかです。
しかし電圧がないと読み取れないので、車速信号を入力する各コントロールユニットからオープンコレクタのような電圧(12Vや10V、5Vなど)を出しています。
その電圧が、アースに落としたときは0Vになり、落とさないときはそのままの電圧になります。その電圧の変化を車速信号と見なして各コントロールユニットで扱っているのです。
車速信号をテスターで計ってみると12Vの時がありますが、それはつながっている各コントロールユニットが出している電圧なのです。
電圧が12Vの場合、走行中の車速信号は0V→12V→0V→12V→が繰り返されます(テスターの電圧計で見た場合)。スピードが遅い時はそれなりにゆっくり繰り返され、スピードが上がるにつれて早く繰り返されます。停車中は0Vの時もあれば12Vの時もあります。後退時も信号は出ますが、この信号だけでは後退しているか前進しているかは判別できません。
信号系統図

車速信号がつながっているユニット
下記ユニットのコネクタ端子に車速信号(2パルス)がつながっています。
社外ナビなどの設置にともなう車速信号の配線は、最寄りのユニットの車速信号線から取るのが便利です。
ユニット名 | 取付位置 | 車速信号の端子No. (括弧)は後期型 |
補足 |
---|---|---|---|
ECCSコントロールユニット | 左ダッシュサイド | 29(53) | |
A/Tコントロールユニット | 右ダッシュサイド | 24(27) | |
ASCDコントローラ | 右ダッシュサイド | 7(7) | オートクルーズ |
EPSコントロールユニット (パワステコントロールユニット) |
左ダッシュサイド | 3(3) | バネサス車 |
エアサスコントロールユニット | 左ダッシュサイド | 3(3) | 電子制御エアサスペンション車 |
パワーウィンドウメインスイッチ | 運転席ドア | 12(12) | |
パワーシートコントロールユニット | 運転席下 | 24(24) | メモリー付きドライバーシート |
オートライトコントロールユニット | 右ダッシュサイド |
6(6) | 車速信号はつながっているが、 オートライトシステムでは使っていない |
AVコントロールユニット | トランク左 | -(61) | マルチAVシステム車 前期は該当なし |
アダプターユニット(自動車電話) | -(25) | ハンドフリー自動車電話 前期は車速信号は使っていない |
車速信号の取り扱いについて
- 車速信号に負荷を与えてはいけない(車速信号は電源ではない)
"負荷"とは、車速信号線に電流が流れるような部品などです。車速信号から電圧は取り出しても電流は流してはいけません。例えば車速信号線に電球をつなげるとそれが負荷となって信号が弱まります。
車速信号が信号の役目を果たさなくなると、つながっている各ユニットに影響が出ます。
車速信号が途切れるとどうなるか
- 車速信号が途切れる要因
車速信号線の断線、車速信号の弱まり、車速センサーの故障、コンビネーションメータの停電、コンビネーションメータ内の回路異常 など
- 症状
- ハンドルが重いまま(軽いまま)変化しない
これは車速に応じてステアリングの操舵力を変えているため。
(EPSコントロールユニット(エアサス車はエアサスコントロールユニット))
「パワステが重い」(メンテナンス)も参照されたい。 - フューエルカットしない
車速によるフューエルカットの切り換えおよび車速0km/h時のフューエルカットが正しく行われない。
- アイドル制御が正しく行われない
実際の車速が8km/h以上でもアイドル制御する可能性がある。
- スピードメーターが動かない(車速センサーからの信号が途切れた場合)
車速センサーから車速信号(16パルス)が途切れた場合はスピードメーターや距離計が動かなくなる。
上記の症状が出ているにも関わらずスピードメーターが動いている場合は、コンビネーションメータからの車速信号が途切れている。
- ハンドルが重いまま(軽いまま)変化しない
もうひとつの車速信号
A/Tコントロールユニットでは、A/Tの出力軸(アウトプットシャフト)に取り付けられている回転センサーを"車速センサー1"として入力しています。これをメインの車速信号とし、コンビネーションメータから出力される車速信号は予備として扱っています。
車速センサー
(画像はY31シーマ後期型)
速度警報はどこで出しているか
設定以上の車速になったときにチャイムで運転者に知らせる速度警報は、コンビネーションメータで制御してチャイムを鳴らしています。
設定車速を変えるにはアナログメーターの特性と調整の「速度警報の調整」を参照してください。