公開日:2016年5月29日
最終更新日:2017年9月17日

エンジン用の水温センサーです

壁温センサー

Wall temperature sensor (for Engine)

カテゴリー : 基本資料

Y31シーマ、Y31セドリック・グロリアに適用

壁温センサー 22630-01P01 SENSOR ASSY-TEM
Water temperature sensor for engine


水温センサー(水温計用) | 水温センサー(エアコン用)

壁温センサーとは

エンジン用の水温センサーのことです。ふつう水温センサーと呼んでいるものはこの壁温センサーのことを指します。壁温センサーと水温センサーを混同して呼ぶことがありますが、間違いではありません。NISSAN FASTでは「エンジン クーラント テンパラチャー センサー」という名称も使われています。「壁温」は「へきおん」と読みます。

壁温センサーはECCSコントロールユニットにつながっていて、検出した水温はエンジンの制御(水温増量補正、フューエルカット領域変更、水温による点火時期変更、水温による目標回転数変更)に使われます。極めて重要なセンサーで、これ一つ不良になっただけでエンジンがかからなくなったり、またはかかりにくくなったり、かかっても安定しなくなります。

社外品のR-VITやインフォメーターなどの診断コネクタにつなげて情報端末に表示される水温は、壁温センサーで検出した水温で、ECCSコントロールユニットでアナログからデジタルに変換したデータを扱っています。

コンビネーションメーターの水温計は水温計専用の水温センサーを使っているため、この壁温センサーとは関係ありません。エアコンはエアコン専用の水温センサーを使っています。

取付場所はエンジン前方の壁面で、少し奥まったところなので見えにくいです。壁温センサーハーネス(EGIサブハーネス)のコードをたどっていくと壁温センサーにたどり着きます。向かって右側のタイミングベルトカバーのフロントアッパーカバーに被っているわけではありませんが、外せばアクセスしやすくなります。壁温センサーハーネスも合わせてご覧ください。

壁温センサーは見えにくいところにある
壁温センサーはエンジンの "壁" に取り付けられている。
左側(=向かって右側)タイミングベルトカバーのフロントアッパーカバーを外さないと見えにくいところにある
壁温センサー
コネクタ部分が回転するようになっているため少々ガタがあり、寸法が0.5mm程度前後する。全長は変化しない。レンチサイズは19mm

コネクタ表

ここでは壁温センサーに直にはめ込むコネクタについて紹介しています。壁温センサーハーネスのメインハーネス側のコネクタについては壁温センサーハーネスをご覧ください。

壁温センサーの電圧や抵抗を測るには壁温センサーハーネスのコネクタのところが測りやすいです。
コネクタ記号は、A-63です。

23 49
端子No. 名称 コード 電圧 内容
太さ
23、

28
壁温センサー信号 緑2/- 抵抗変化

3.5V(20℃時)
1.0V(80℃時)
ECCSコントロールユニットの端子No.23につながっている(前期)。
ECCSコントロールユニットの端子No.28につながっている(後期)。

壁温(冷却水温)が低いと電圧は高く、壁温(冷却水温)が高いと電圧は低くなる。
電圧値はアース間の電圧。端子No.49間の電圧ではない。
ここの電圧を測るには、ここの直のコネクタと壁温センサーハーネスのコネクタをつなげたままアース間電圧を測る(信号アース間ではない)。

壁温センサーの抵抗を測るには、このコネクタを外して端子No.49間で測る(壁温センサーハーネスのコネクタの方が測りやすい)。

Y31セドリック・グロリア(後期)VG20E、VG30E、VG30ETの場合、端子No.は28。
49、

62、

30
壁温センサー信号アース -/- 常に0V? ECCSコントロールユニットの端子No.26とエアフローメーターの端子No.26につながっている(Y31シーマ前期、Y31セドリック・グロリアVG20DET前期/後期)。
ECCSコントロールユニットの端子No.30につながっている(Y31シーマ後期)。

壁温センサーの抵抗を測るには、このコネクタを外して端子No.23間で測る(壁温センサーハーネスのコネクタの方が測りやすい)。

Y31セドリック・グロリア(前期)VG20E、VG30E、VG30ETの場合、端子No.は62、壁温センサーハーネスはなし。
Y31セドリック・グロリア(後期)VG20E、VG30E、VG30ETの場合、端子No.は30、壁温センサーハーネスはなし。

壁温センサーの特性

壁温センサーは温度によって抵抗が変化します。温度が低いときは抵抗が高く、温度が高いときは抵抗が低くなります。
例えば、壁温が20℃のときは2.5kΩ、80℃のときは0.3kΩとなります。

壁温センサー22630-01P01(黄色コネクタ)の温度-抵抗特性グラフ

抵抗はECCSコントロールユニットで電圧に置き換えられ、電圧から温度を算出しています。

壊れるとどうなるか

コネクタ部分の端子の腐食などによって接触抵抗が加味されると抵抗が高くなります。抵抗が高くなると、壁温(冷却水温)が下がったと認識するECCSコントロールユニットは、水温を上げようと努力します。
暖機するためにエンジン回転数が高くなることがあるかもしれません。コンビネーションメーターの水温計は正常な範囲なのに、ボンネットを開けたらとエンジンがやたらに熱いと感じることがあるかもしれません。

診断コネクタにつなげて使うR-VITやインフォメーターなどの情報端末に表示される水温はこの壁温センサーで検出した水温です。コンビネーションメーターの水温計とかけ離れている場合は接触不良の可能性があります。

ECCSの自己診断システムでコード番号13を表示した場合、おそらく壁温センサーハーネスの断線または短絡(ショート)です。前期は通常自己診断(モード3)、後期は自己診断モード(モード2)で診断します。
断線または短絡(ショート)してもフェイルセーフ機能によって通常走行はできます。

交換について

壁温センサーは奥の見えにくいところにあるため、左側(車両前方から見て右側)のタイミングベルトのフロントアッパーカバーを外さないと交換は難しいです。
フロントアッパーカバーを外すのにともない、壁温センサーハーネスを固定している2本のビスを外し、クランク角センサーのコネクタも抜かなければなりません。タイミングベルトのフロントカバーは左右に分かれていますが、向かって右側のフロントアッパーカバーが左側のフロントカバーに被っているので、右側を外すだけで良いのが唯一の救いです。
壁温センサーはエンジンの壁面に固定されていても黄色いコネクタ部分はクルクル回転します(固着していなければですが)。作業しやすい方向へ回してロックピンを抜いてからコネクタを外します。
壁温センサーからコネクタを外すにはロックピンを抜かなければなりませんが、これがやっかいです。マイナスドライバーではうまく抜けません。先端が曲がっているピックアップツールなどがあると便利です。ロックピンに引っ掛けて引き起こして抜きます。空間が狭いので短いツールの方が使いやすいです。

一度も交換したことがなければ壁温センサーハーネス側のコネクタがボロボロになってロックピンが外れているかもしれません。もしもそのような状態なら軽く引っ張るだけで簡単に外れます。

レンチサイズは19mm。壁温センサーのコネクタ部分がスッポリ覆ってしまうほど懐の深い(深さ22mm以上の)ソケットレンチがあれば外せます。

部品番号と価格

壁温センサー 部品番号:22630-01P01 SENSOR ASSY-TEM 部品コード:22630Q
税込み3,067円(2016年3月時価)
冷却水に直接触れるわけではないので銅ワッシャーは必要ありません。

【メモ】
テンパラチャー センサー(水温センサー)
接続相手:EGIハーネス or EGIサブ ハーネス(壁温センサーハーネス
接続コネクター符号:A14-010-020(BS02FY)
リペアーコネクター:24028-60Y12(コード付き?)

壁温センサー 22630-01P01 MADE IN JAPAN A26-000002 6127
壁温センサー 22630-01P01 MADE IN JAPAN A26-000002 6127