概要
ECCSの自己診断システムは異常が起きた信号系統を記憶し、故障コードで点検者に知らせます。
このモードは誤診断を防ぐため、ある程度検出感度を下げています。このため不具合が発生しても検出できない場合があります。このようなときは 電子システム診断テスターCONSULTで不具合信号系統を絞り込んでいきます。
このモードでは過去に記憶された不具合を排気温度警告灯の点滅でコード番号を表示します。
ECCSコントロールユニットの赤ランプも排気温度警告灯に同期して点滅します。
点灯パターンと意味
診断できる信号系統に対応するコード番号と点灯パターンは下表のとおりです。
診断項目 | コード番号 | 点灯パターン(繰り返す) | |||
---|---|---|---|---|---|
全体12秒 | |||||
消灯 | 赤ランプ 点灯 |
消灯 | 赤ランプ 点灯 |
||
?秒 | 0.4秒 | ?秒 | 0.2秒 | ||
クランク角センサー信号系統 | 11 | ● | ● | ||
エアフローメーター信号系統 | 12 | ● | ●● | ||
壁温センサー信号系統 | 13 | ● | ●●● | ||
点火信号系統 (イグニッション信号系統) |
21 | ●● | ● | ||
ノックセンサー信号系統 | 34 | ●●● | ●●●● | ||
A/T通信線系統 | 54 | ●●●●● | ●●●● | ||
異常なし(正常) | 55 | ●●●●● | ●●●●● | ||
※ ●は赤ランプと排気温度警告灯点灯を表す ※ ●の点灯数でコード番号を表す ※ 他車種ではスロットルセンサー信号系統(コード番号43)もある |
コード番号は2桁で表示されます。点滅の長い方(0.4秒)で10の位、短い方(0.2秒)で1の位を表しています。
複数の不具合がある場合は連続して表示します。
例えばクランク角センサー信号系統とエアフローメーター信号系統の両方に不具合がある場合はコード番号11→12→11→12→・・・と表示します。
各信号系統の状態
表示されたコード番号に対応する信号系統とその状態およびフェイルセーフ機能は下表のとおりです。
コード番号 | 診断項目 | 異常(コード番号)が表示される状態 | フェイルセーフ |
---|---|---|---|
11 | クランク角センサー信号系統 |
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|
12 | エアフローメーター信号系統(※1) |
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|
13 | 壁温センサー信号系統 |
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21 | 点火信号系統 (イグニッション信号系統) |
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|
34 | ノックセンサー信号系統 |
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54 | A/T通信線系統 |
|
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55 | 異常なし(正常) |
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診断方法
手順 | 操作 | 解説 |
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1 | 〔診断モードの切り換え〕キースイッチを「ON」にする(エンジンは停止)。通常この状態では故障警報モードになるので、次の要領で診断モードを切り換える。診断コネクタのCHK端子とIGN端子を約2秒以上ショートしてその後オープンする。この操作をするごとに故障警報モード→自己診断モード→故障警報モード→・・・と切り換わる。 注意:この操作で自己診断モードから故障警報モードに切り換えた時に記憶が消去される。 なお自己診断モードのままキー「OFF」して数秒のうちに「ON」にしたときは自己診断モードが継続されることもある。 |
|
2 | 上記操作で自己診断モードに切り換える。 (この状態で再びエンジンを回転させるとO2センサーモニターモードに移行する) |
この状態で表示されるコード番号は、過去に異常を検出して記憶されている項目である。 異常がないか記憶が消去されている場合はコード番号55が表示される。 |
自己診断結果の記憶消去について
この自己診断モード(モード2)の状態でエンジン停止時に、診断コネクタのCHK端子とIGN端子を約2秒以上ショートしてその後オープンすると、すべての診断結果の記憶が消去されます。 つまり自己診断モード(モード2)から故障警報モード(モード1)に切り換えた時に記憶が消去されます。
古い診断結果をいつまでも記憶し続けると故障診断時に誤認する可能性があるため、診断結果はある期間記憶した後、自動的に消去されます。記憶保持の期間は、スタータースイッチの信号を用い、異常を検出してからスタータースイッチが50回ONするまでは故障の記憶を保持し、50回ごとに記憶が自動的に消去されます。
A/T通信線系統の記憶はキー「OFF」時に消去されます。
故障警報モード | 自己診断モード | O2センサーモニターモード
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