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公開日:2014年8月15日

エンジンがかからなかったらここを疑ってみよう

インヒビター スイッチの点検
(メンテナンス)

Y31シーマ、Y31セドリック・グロリアに適用



エンジンがかからなくなったら点検してみよう

キースイッチを「START」位置に回したときの電気の流れは、

バッテリー+端子 → ヒュージブルリンクFL#6キースイッチのSTARTスイッチ → インヒビタースイッチ → スターターモーターのS端子

です。厳密には各部位のコネクタも通りますが、ここではコネクタの接触不良は考えないことにします。

インヒビタースイッチの電流はインヒビタースイッチコネクタの端子No.1 → 端子No.2へ流れますが、この間が流れにくくなっているとエンジンがかからなくなります。
端子No.1と2がつながるところは「P/Nポジションスイッチ」と言い、使われる接点は第1接点です。この接触が悪いと電圧降下が起こり、スターターモーターが回らなくなり、エンジンがかからなくなります。


インヒビタースイッチが原因かどうか調べる

エンジンがかからなかったときに、その原因がインヒビタースイッチなのかどうかは次のようにして調べます。

1.キースイッチを「START」の位置にした状態で、A/Tセレクトレバーを「P」の位置のままで前後に動かしてみます(ほとんど動かないが、動く範囲で)。
これでエンジンがかかったらインヒビタースイッチ(P/Nポジションスイッチ)が原因です。

2.A/Tセレクトレバーを「N」の位置にして、エンジンをかけてみます。
これでエンジンがかかったらインヒビタースイッチP/Nポジションスイッチ)の「P」の接点が不良です。

3.A/Tセレクトレバーを「P」から「1」まで何回も往復させてから、「P」(または「N」)の位置でエンジンをかけてみます。
これでエンジンがかかったらインヒビタースイッチP/Nポジションスイッチ)の接点が不良です。

これらの方法を試みてエンジンがかかるうちはいいのですが、さらに悪化するとエンジンがかからなくなります。


具体的な点検方法

テスターを使った具体的な点検方法を以下に示します。


1. スターターS端子の電圧を測る

キースイッチ「START」時のスターターモーターのS端子の電圧を測ってみます。
測るところはバッテリー付近のコネクタブロックの一番上にあります。
 


一番上の太いコードがスターターS端子の配線。
向かって左が2次側、右が1次側だが、
コネクタは抜かずに電圧を測るので、左右どちらで測っても関係ない


この端子はスターターモーターのS端子につながっています。ここにバッテリー電圧がかかっていないとスターターモーターは回りません。
テスターの赤い棒はこの端子へ差し込み、黒い棒はボディーアースにつなげて直流電圧を測ります。
本来はバッテリー電圧が出ていなければなりませんが、6VくらいになっていたらP/Nポジションスイッチの接点が不良です。

なおインヒビタースイッチコネクタの端子No.2の電圧を測っても同じことです。


2. インヒビタースイッチ端子No.1の電圧を測る

キースイッチ「START」時のインヒビタースイッチコネクタの端子No.1の電圧を測ってみます。
ここにもバッテリ電圧が出ているはずです。ただしスターターモーターが回っているときは電圧降下で若干下がるのが普通です。
テスターの赤い棒は端子No1へ、黒い棒はボディーアースにつなげて直流電圧を測ります。

インヒビタースイッチコネクタの端子で電圧を測る場合は、まずはコネクタブロックの下側にくっついているインヒビタースイッチコネクタを外して上の方へ移します。コネクタブロックはヒューズボックスに連結されていますが、ロック部分にマイナスドライバーを差し込めば外れます。ただコネクタブロックにはたくさんのコードがつながっていて上へ引っ張り出せないので、一旦バッテリーを外す必要があります。
 


インヒビタースイッチの端子電圧を測るには一旦バッテリーを外して
コネクタを上にひっぱり出さなければならない


先ほど測定した端子No.2の電圧が端子No.1の電圧よりも遥かに低ければP/Nポジションスイッチの接触が悪くなっています。


3. インヒビタースイッチ間の電圧を測る

キースイッチ「START」時のインヒビタースイッチコネクタの端子No.1と2間の電圧を測ってみます。
これで端子No.1〜端子No.2で電圧降下した分の電圧がわかります。
電圧差がなければ(電圧がゼロなら)正常、電圧差があれば異常です。
P/Nポジションスイッチの導通が正常(0Ω)なら電圧降下は起こらないので電圧差は0Vです。
もしも接触不良で導通が悪くなっているときは電圧降下した分の電圧が出ます。
テスターの赤い棒を端子No.1へ、黒い棒は端子No.2につなげて直流電圧を測ります。
 


あらかじめインヒビタースイッチコネクタを上に引っ張り出しておいた。
コネクタはつなげたままでキーを「START」位置にして測定する


なお、端子No.1の電圧と端子No.2の電圧をそれぞれ測ってから引き算しても電圧差を求められます。
電圧差があればP/Nポジションスイッチの接触が悪くなっています。


4. インヒビタースイッチ間の抵抗を測る

インヒビタースイッチコネクタ(端子No.1と2に関してなので正確にはP/Nポジションスイッチの2Pコネクタ)を抜き、コネクタ1次側(インヒビタースイッチ側)の抵抗を測ってみます。
P/Nポジションスイッチの導通が正常なら0Ωです。
もしも接触不良で導通が悪くなっているときは、接触抵抗があります。
このときA/Tセレクトレバーを動かして抵抗が変化するか確認します。
抵抗が変化するならP/Nポジションスイッチの接触が悪くなっています。


インヒビタースイッチコネクタの1次側にテスターのリード線を挿して測定しているところ


本来なら0Ωのはずだが、このときは1.2Ωだった(画像)。
その後、A/Tセレクトレバーをいじっていたら0Ωに近くなった。


5. インヒビタースイッチ間にブザーやLEDをつなげてみる

インヒビタースイッチの端子No.1と2間に12Vブザーをつなげ、キー「START」時に鳴るかどうか調べます。
これは時々エンジンがかからなくなる程度の症状の場合に有効な手段ですです。ブザーは運転席から聞こえる位置に置きます。
P/Nポジションスイッチの導通が正常ならブザーは鳴らず、エンジンはかかります。
もしも接触不良で導通が悪くなっているときは、ブザーが鳴ります(接触抵抗の大きさによりブザーの音量が変わるので聞き取りにくい場合もあります)。
 


インヒビタースイッチコネクタの2次側にブザーをつなげたところ


これで実際にエンジンがかからなかったときにブザーが鳴りました。
なお12Vブザーの代わりに12Vで点灯するLEDでもOKです。P/Nポジションスイッチの接触が悪いときにLEDが点灯します。


以上の点検にてインヒビタースイッチP/Nポジションスイッチ)が原因だとわかればオーバーホールか交換または応急処置が必要です。



応急処置

応急手当というか、とりあえずエンジンをかかるようにしたいなら、以下の方法があります。なおこれらの方法はエンジン始動不良時お助けキットのページでも紹介しています。


1. インヒビタースイッチ間をショートする

インヒビタースイッチコネクタの2次側で端子No.1と2を短絡(ショート)させます(この場合はバイパスとも言います)。
コネクタ2次側とは車両側の端子です。インヒビタースイッチコネクタの1次側と2次側はつなげていてもつなげていなくても構いません。
短絡するために使うコードはコネクタにつながっているコードと同等かそれ以上の太さのコードを使います。細いと熱を持ちます。
短絡するとP/Nポジションスイッチは強制的に常にONの状態になります。
接触不良があろうがなかろうがスイッチONの状態です。
P/Nポジションスイッチが原因だった場合は、これで確実にエンジンがかかるようになります。
この方法はエンジン始動以外の部位には影響ありません。

この方法はインヒビタースイッチジャンパー線のページで紹介しています。

※注意!!:この方法はA/TセレクトレバーをどのポジションにしていてもキースイッチをSTART位置にすればエンジンが始動できてしまいます。必ず「P」か「N」の位置でキーを回すようにします。


2. 別途スイッチで直結する

スターターモーターのS端子とバッテリー+端子を押しボタンスイッチでつなげます。つまり、簡易的なプッシュスタートスイッチにするのです。
スターターモーターのS端子はインヒビタースイッチコネクタの端子No.2につながっていますから、この端子に押しボタンスイッチをつなげれば良いのです。
使うコードは端子No.2につながっているコードと同等かそれ以上の太さのコードを使います。細いと熱を持ちます。
エンジンをかけるときはキースイッチを「ON」の位置にし、押しボタンスイッチを押します。エンジンがかかったらスイッチを切ります。たったこれだけでエンジンがかかります。ただし、通常のエンジンスタート時はスタート信号をECCSコントロールユニットに送っていますが、この簡易的なプッシュスタートスイッチでは送られないのでエンジンがかかりにくい場合もあります。

この方法はプッシュスタートスイッチのページで紹介しています。

※注意!!:この方法はA/Tセレクトレバーをどのポジションにしていても押しボタンスイッチを入れればエンジンが始動できてしまいます。かならず「P」か「N」の位置でキーを回すようにします。


3. リレーでインヒビタースイッチ間をつなげる

とりあえずの程度ではありませんが、リレーを使ってインヒビタースイッチコネクタの2次側を短絡(ショート)させます。
A/Tギアポジションセンサーとして使われているスイッチを利用する方法です。コンビネーションメーターのセレクト表示灯(PやNなどのトルコンインジケータランプ)が正しく表示されていればこの方法が使えます。
インヒビタースイッチコネクタの端子No.7「P」か端子No.9「N」がON(約12V)の時にリレーを作動させ、リレーのスイッチで端子No.1と2をつなげてしまう方法です。


インヒビター リレー キット1
(A/TセレクトレバーをN位置にすると、割り込ませたコネクタのコード2本をリレーが短絡する)

この方法はインヒビターリレーキット1インヒビターリレーキット2インヒビターリレーキット3のページで紹介しています。

※2014年8月現在、このシリーズのインヒビターリレーキット3を使っています。
 


関連ページ

基本資料 〜 インヒビタースイッチ
基本資料 〜 インヒビタースイッチの接点
コネクタ表 〜 インヒビタースイッチ
メンテナンス 〜 インヒビタースイッチの脱着
追加装備 〜 エンジン始動不良時お助けキット

 

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