交換しても変わらなかった
スターターモーターの交換
(メンテナンス)
Y31シーマおよびY31セドリック・グロリアに適用

これは交換前のスターターモーター23300-26V00
(スターターモーターはミッションの右側にある)

これは交換後のスターターモーター23300-26V05
概要
2011年7月、走行距離29.3万キロの頃、エンジンがかかりにくい症状が頻繁に出るようになったため、日産ディーラーで交換してもらいました。
しかし交換しても変化がなく、直りませんでした。
日産ディーラーから脱出するためにプッシュスタートスイッチを取り付けてもらい、なんとか退院しました。

交換前のスターターモーター23300-26V00 日立 S114-460
症状
・時々、キースイッチをSTART位置にしてもスターターモーター(セル)が回らず、エンジンがかからないときがある。
・スターターモーターが回らないときでも、"カチッ"という作動音だけは聞こえるときがある(聞こえないときもある)。
・何度か(1回〜4回程度)トライしてエンジンキーを回せばエンジンがかかる。
・A/Tセレクトレバーを「P」や「N」の位置に動かしても変わらず(変化があればインヒビタースイッチが原因の可能性大)。
推測: キースイッチ内の接点の接触不良かもしくはスターターモーターのブラシの摩耗が原因として濃厚。
・・・という予想を立てました。
そしてどちらかというとブラシの方が有力なので、ブラシを疑いつつエンジンをかけるようにしていました。
するとなんとなくですが、ピニオンギア?が動いたときの振動でスターターモーターが回り出しているように思えます。
セルが動かなくなったら叩けば動くこともあるということを聞いたことがあるので、スターター自身の振動で動き出しているようです。
一応、ヒューズ#13(ST.信号)の電圧を測ってみましたが、キースイッチをSTART位置にしたときに、きちんとバッテリー電圧が出ていました(ST信号がスターターモーターのS端子にかかるわけではありません)。
原因
・日産でわかったことですが、スターターモーターのS端子の電圧が約6Vしかありませんでした。
このため、スターターがカチッと勢いよく音を立て動いてもモーターには通電しないので回らないのです(バッテリーが正常でも)。
・これもあとでわかったことですが、その原因はインヒビタースイッチでした。
日産へ
日産に相談に行きました。
まずは「キーを回してもエンジンがかからないのですが・・・」というところから話を始めました。
そうすれば原因として可能性のあるところを話してくれるからです。
以前にもエンジンがかからないときがありました。そんなときはA/Tセレクトレバーを「P」の位置で揺さぶったり、「N」の位置にしてエンジンをかけていました。
ところが今回はその対処方法すら通用しないことも担当者に伝えました。
その上でスターターモーターが原因であるかもしれないという話が浮上し、交換することにしました。
部品はリビルトか新品になるそうです。
リビルトは4万円くらい、新品はその倍くらいすると言われたので、リビルトにしました(前もって自分で調べたときは新品で4万くらいだったのでちょと驚きました)。
担当者に聞くと、ブラシだけ交換するような方法はやってないそうです(電装屋さんならやるかもしれませんが、その場合一度預かるかたちになるそうです)。
自分で交換できるかどうか判断
日産にスターターモーター(リビルト)を注文したものの、自分で交換するかどうかはまだ決めていませんでした。
そこで自分で交換できるかどうか調べてみることにしました。
仕事帰りにジャッキで右フロントを持ち上げ、クルマの下に潜り込んでみました。
自分なら電気の配線は何とかなります。
自分で取り外せるかどうか調べたかったのです。
上側のボルトが見えにくく脱着が難しそうに思えました。
自分では無理という結論に達したのは、クルマの下に潜り込んで作業したことがないのと、ウマを持っていないこと。
そして外気温35℃くらいの猛暑の中で、熱いスターターモーターを交換できる自信がないということからです(スターターモーターを触ったらすごく熱かったです)。
入荷の知らせ
金曜日の夜に注文して6日後の木曜日に入荷の連絡がありました。
作業時間は1時間半くらいとのことでしたので、仕事が休みの日に入庫することにしました(仕事が終わってから日産に向かうと19時を過ぎてしまうので)。
見積もりはスターターモーター(リビルト)が3万4千円、工賃は1万数千円だそうです。
「5万円あれば足りるんだ」という認識をしました。
いざ交換
仕事が休みの日に日産に向かいました。
午前11時半に日産の駐車場に着いて担当者にキーを渡すとすぐに作業が始まりました。いえ、始まるはずでした。
…。(?)
…。(?)
クルマを数人がかりで押して入庫してました(笑)。

日産に着いてからはまったくエンジンがかからなくなってしまった

おっと、行きすぎたのでバックバック
(よく見ると、タオルを使って押してくれています)
後で聞くと、駐車場で何回キーを回してもエンジンがかからなかったそうです。もちろんA/Tセレクトレバーの「N」位置も試したそうです。
そしてスターモーターの交換が始まりました。
自分は店内の待合場所からガラス越しに眺めていました。

スターターモーター交換作業中…
古いスターターモーターを外して、新しいものを装着・・・。
交換してもエンジンがかからない
何かが合わないのか?取り外したものと見比べたりして結構時間がかかっていました。

スターターモーターを電源につないで確認しているところ
(ときどき火花が散っていた)
首をかしげています。交換してもエンジンがかからないようです。
さらにエンジン下のアンダーカバーを外して配線をチェックしているようでした。そしてテスターで電圧をチェックしていました。
担当者曰く(作業担当ではない)、スターターモーターを交換してもエンジンがかからず、S端子の電圧が6Vくらいしかならないそうです。
S端子にバッテリーを直につなげるとエンジンがかかるそうです。
古いスターターモーターも新しいスターターモーターも単品テストではきちんと動作するそうです。

スターターモーターに関わる配線図
キースイッチを「START」位置(ST)にすると、バッテリー+端子 →
ヒュージブルリンクFL#6(30A) →
キースイッチ(ST) → インヒビタースイッチ → スターターモーターのS端子 へ電気が流れるが、
S端子の電圧が6Vにしかならない
S端子のコネクタの接触不良が原因かもしれないとうことで、「車両側のコネクタを交換してみようと思うので加工しても良いですか?」聞かれました。
「いいですよ」と答えてコネクタを取り換えてもらうことにしました。
整備工場の片隅に置いてあったエンジンから似たようなコネクタを探しているようでした。
しかしコネクタを交換してもまだ首をかしげています。

整備工場の片隅に置いてあったエンジンから同じコネクタを探しているようだった
ここで初めて自分の登場です(笑)。ここまでは待合場所から眺めているだけでした。エンジンキーを回してもピニオンギア突出の音だけは聞こえますが、モーターが回りません。
A/Tセレクトレバーを「P」や「N」にしてキーを回したり、キーを回したまま「P」から「N」へ動かしたりしましたが、いっこうにエンジンがかかりませんでした。
ピニオンギアは出るのになぜモーターが回らないのでしょう?
電圧が6Vしかないときは、そのような症状になるようです。
音はすれど中の電気スイッチは入らないのです。
スイッチが入ればB端子とモーターがつながるので回るはずですが・・・。

取り外したスターターモーターは真っ黒だった

取り外したスターターモーター
担当者が「いまリビルトのスターターモーターが付いてますが、取り外したスターターモーターもまだ使えますけどどうしますか?(古いスターターモーターを元に戻しますか?という意味)」と聞いてきたので、「新しい方が安心できるのでこのままでいいですよ、支払いますから」と答えました。
キースイッチ周りのステアリングカバーを外し、キースイッチをSTART位置に回したままでキーシリンダーをドライバーの柄でたたいてみましたが変化ありませんでした。
また、ロアカバー辺りをたたいてみましたが変化ありませんでした。
「スターターモーターの近くにインヒビタースイッチがあるので、そのコネクタはないですか?あったら接触を確認して欲しいのですが」とお願いしたら、近くにコネクタはないとのことでした。
担当者は「他に原因があって、配線をたどらなければならないので時間がかかります」とのこと。
そして「代車としてレンタカーの手配もしなければならないので…」という話が担当者の口から出てきました。
とりあえずエンジンがかかるようにしてもらいたい
2日後にオフ会があるのでそれは何とか避けたい。
そう思った自分は「とりあえずスイッチか何かでエンジンがかかるようにしてもらえれば、配線をたどるのは自分でやります」と言い、プッシュスタートスイッチを取り付けてもらいました。
コネクタの接触不良かキースイッチが原因として考えられるので、どこで6Vに落ち込むのかテスターで調べつつ、そこら辺をいじりながらキーを回していればわかってくるだろうという考えからです。
そしてプッシュスタートスイッチでエンジンがかかるようになったものの、担当者に「既存の配線は生きているんですよね?」とたずねたら「外してあります」とのこと。
それでは電圧や接触不良の確認ができないので、既存の配線を生かしてもらいました。
やっと終了
これで退院できるようになりました。
時刻は3時半。
入庫は11時半なので4時間もかかりました。
昼食は摂ってないのですが、空腹を通り越してお腹は減っていません(笑)。
料金は部品代だけで言いそうです。聞くと「直ってないので工賃は頂けません」とのこと。
請求金額:34,335円(税込み) |
日産サティオK店 |
作業内容および使用部品名称 |
コード |
作業区分 |
技術料 |
部品 |
数量 |
金額 |
時々エンジン始動不良 点検 |
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修理 |
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S端子配線 不良? |
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* |
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セルモーター(リビルト) |
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部品 |
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1 |
34,335円 |
※交換前の部品番号:日立 23300-26V00。交換後の部品番号:日立 23300-26V05。
※直らなかったので技術料は頂かないと担当者から申し出があった。工賃込みだと5万円くらいかかる。
※作業時間は4.0時間。交換しても直らなかったので原因究明に時間がかかった。
※結局、ディーラーでは直らなかった。担当者からの「クルマを預かりたい」という申し出は断った。
※作業時間には応急処置のプッシュスタートスイッチ化も含まれる。
※プッシュスタートスイッチの工賃も無料。
※スターターモーター23300-26V00の後対応部番23300-26V02と23300-26V05は、どちらも無条件で代替可。 |

自分で測ってみた。
キースイッチを「START」位置にしてもスターターモーターのS端子は6.5Vにしかならなかった

日産で配線してくれたスターターモーターS端子とプッシュスタートスイッチの配線(赤いコード)。
絶縁テープを剥がしてみたらコネクタがなかった。
合うコネクタ探して取り付けてくれたんじゃなかったの?
これじゃ引っ掛けたらすぐに抜けちゃうよ(笑)

インシュロックで抜け防止した
※この後、インヒビタースイッチの接点入れ替えやオーバーホールで少し改善しましたが、2014年4月現在、まだエンジンがかからないときがあります。
※2014年4月現在、インヒビターリレーキット2を利用してエンジンをかけています。
関連ページ
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