最大過給圧を切り換えます
過給圧制御システム
Boost Control System (基本資料)
Y31シーマ(VG30DET)および
Y31セドリック/グロリア後期(VG20DET)に適用

Y31シーマ(VG30DET)

カットモデル(VG30DET)
概要
過給圧制御システム(過給圧コントロールシステム)は、ガソリン性状に応じて最適な過給圧に切り換えることで、高出力化を図っています。
ECCSコントロールユニットからの過給圧制御信号により過給圧制御ソレノイドが作動して切り換えが行われます。
過給圧制御ソレノイドは左ストラットタワー付近に取り付けられています。可変吸気制御ソレノイドと同じ形状なのでわかりにくいですが、黄色マークのない方が過給圧制御ソレノイドです。
※Y31セドリック/グロリアの前期VG20DETエンジンおよび前期・後期VG30ETエンジンは過給圧制御システムを採用していません。
システム図

配管図

Y31シーマ(VG30DET)
作動条件
下記の条件のいずれかが成立しているときは過給圧制御ソレノイドを閉じ、スイングバルブコントローラにより排気のバイパス量を増加させて、最大過給圧を低下させます。
・ アイドル接点(スロットルバルブスイッチ)が"ON"のとき。
・ レギュラーガソリン使用時(ガソリン性状の判定による)。
・
冷却水温度が約115℃以上でかつ基本噴射量が一定値以下となったときから、冷却水温度が110℃以下でかつ基本噴射量率が一定値以下となるまでの間。
・ CPUバックアップ時(Y31セドグロ後期VG20DETのみ?)
・ A/Tのギア位置が1速の時(Y31セドグロ後期VG20DETのみ)
最大過給圧
Y31シーマ(VG30DET) |
過給圧制御信号 |
あり |
なし |
ソレノイド通電 |
ON |
OFF |
通気(a〜b間) |
あり |
なし |
最大過給圧(mmHg) |
約500 |
約400 |
Y31セドリック/グロリア後期(VG20DET) |
過給圧制御信号 |
あり |
なし |
ソレノイド通電 |
ON |
OFF |
通気(a〜b間) |
あり |
なし |
最大過給圧(mmHg) |
ハイオクガソリン使用時 |
約600 |
約500 |
レギュラーガソリン使用時 |
約500 |
約400 |
Y31セドリック/グロリア前期(VG20DET)(参考) |
最大過給圧(mmHg) |
レギュラーガソリン |
約540 |
※過給圧制御なし |
ハイオク-レギュラー ガソリン性状の判定
エンジンをかけた時点では必ずハイオクガソリンと判定されます(というか固定です)。
その後、ノックセンサーによりノッキングを感知するとECCSコントロールユニットは、その他の情報とともに総合的に判断し、レギュラーガソリンと判定します。
レギュラーガソリンと判定されると、最大過給圧が低下し、点火時期が変わります(点火時期が変わる点はノンターボ車も同じです)。
レギュラーガソリン100%給油しても基本的にノッキングが起こらなければレギュラーガソリンとは判定されません。アクセルペダルを強く踏むなどしてノッキングが起こるような運転をして初めてレギュラーガソリンと判定されるのです。
一度レギュラーガソリンと判定されても、エンジンをかけ直すとリセットされるのでハイオクガソリンと判定(というか固定)されます。
→レギュラー判定実験のページもご覧ください
フューエルカット
過給圧が異常に上昇したときは噴射量信号が規定以上になるので、フューエルカットが働きます。過給圧が正常になると通常噴射に戻ります。
最適化
過給圧制御を独自の方法で制御し、特性の良いとこ取りするのが最適化です。これはまだ構想です・・・。
システム図のオリフィスB側の通気をなくすと(過給圧制御カットすると)過給圧が上がりやすい反面、スイングバルブコントローラが動きやすくなって最大過給圧は低下してしまいます。
低下しなくするにはスイングバルブコントローラが動き出す直前のエンジン回転数で判断して過給圧制御カットを止めればできそうです。
Y31セドリック/グロリア後期のVG20DETはギアが1速の時は過給圧制御しない仕様なので、愛車にもこの"カット制御"を取り入れてみるのも面白いと思います。
いま現在は過給圧制御カットだけで満足しているので、最適化は今後の楽しみに残しておきます(2010年2月)。

スイングバルブコントローラ
関連ページ
基本資料 〜 ECCSコントロールユニット
基本資料 〜 スロットルバルブスイッチ
基本資料 〜 フューエルカット
基本資料 〜 レギュラー判定実験
基本資料 〜 過給圧制御カット
コネクタ表 〜 過給圧制御ソレノイド
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