最大過給圧を切り換える部品
過給圧制御ソレノイド
Boost Control Solenoid (コネクタ表)
Y31シーマ(VG30DET)および
Y31セドリック/グロリア後期(VG20DET)に適用

過給圧制御ソレノイド 14956-19V00
日立製 GV126-134 0X31
(後対応部品番号:14956-40P00 - 色・サイズなどの条件付きで代替え可能)

Y31シーマ(VG30DET)

Y31シーマ(VG30DET)
Y31シーマ(VG30DET)は手前が過給圧制御ソレノイドで、奥は可変吸気制御ソレノイド。
Y31セドリック/グロリア後期(VG20DET)は奥が過給圧制御ソレノイドで、手前は燃圧制御ソレノイド。
FIG No.C14-02
概要
過給圧制御ソレノイドは過給圧制御システムの構成部品のひとつです。
過給圧制御ソレノイド(過給圧コントロールソレノイド)は、過給圧制御S/V(過給圧コントロールS/V)という呼び方もします。S/Vはソレノイドバルブの略です。
ターボチャージャーの過給圧上限を制御するため、スイングバルブコントローラの制御圧ライン上に設けてあります。
ECCSコントロールユニットからの過給圧制御信号でスイングバルブコントローラにかかる過給圧の一部を吸気側に逃がし、スイングバルブの開弁を遅らせて最大過給圧を上げます(ソレノイド=ON時=通気)。この吸気側とはエアフローメーターとターボチャージャーの中間です。
このソレノイドのバルブは、空気を通す"開"の状態と、空気を通さない"閉"の2つの状態があり、中間はありません。
ホース差し込み口の外径は5.5mmです。
過給圧制御ソレノイドは左ストラットタワー近くに取り付けられています。
過給圧制御ソレノイドはバッテリー電圧で作動します。制御はマイナスコントロールです。
※Y31セドリック/グロリアの前期VG20DETエンジンおよび前期・後期VG30ETエンジンは過給圧制御システムを採用していませんので、過給圧制御ソレノイドはありません。
配線・配管図

図中のダイオードは未確認。ソレノイドに内蔵されているのかもしれない
コネクタ表
黒くて四角いコネクタです。ソレノイドから60mmのところにあります。
Y31シーマ(VG30DET)の場合、近くに可変吸気制御ソレノイドとそのコネクタもありますが、可変吸気制御ソレノイドのコネクタはグレーでやや丸い形をしています。

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ECCS側
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ソレノイド側
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端子 No. |
名称 |
コード |
電圧 |
内容 |
ECCS側 |
ソレノイド側 |
色 |
帯 |
太さ |
色 |
帯 |
太さ |
1 |
電源 |
赤 |
黒/- |
中 |
白 |
-/- |
中 |
12V/0V |
ECCSリレーを通って来る電源。ECCSリレーはECCSコントロールユニットが制御している。基本的にはエンジンがかかっている状態で12V。それ以下は0V。
燃圧制御ソレノイドなどの電源と共通だが、エンジンルーム内では分岐・結合はなく、単独で配線されている。 |
2 |
過給圧制御信号 |
黄 |
-/- |
中 |
黒 |
- |
中 |
約12V/0V |
ECCSコントロールユニットの端子につながっている(前期型は端子No.105、後期型は端子No.102)。
過給圧制御システムの作動条件によって電圧が変わる。
・作動条件が成立しているときは約12V(過給圧制御信号=OFF、過給圧制御ソレノイド=作動しない)。
・作動条件が成立していないときは0V(過給圧制御信号=ON、過給圧制御ソレノイド=作動する)。
このコードはECCSコントロールユニットにつながっている。途中にコネクタはない。総延長は1980mm。 |
ソレノイドの単体点検
過給圧制御ソレノイドのコネクタを外し、ソレノイド側のコネクタの両端子間の抵抗を測ります。
端子No.1〜2間の抵抗は、30〜40Ωで正常です。
テスターの抵抗計で測ってみてこの範囲を大きく外れていたらソレノイドの交換要です。
愛車のは37Ωでした(両極性とも)。
トラスさんのは35.8Ωだそうです(掲示板より)。
極性はなく、プラスマイナスを入れ替えても作動します。
作動時の電流は約335mA(=0.335A)でした(クランプメーターSK-7831にてエンジン回転中に手でスロットルを動かして測定)。
このソレノイドは8.0V以上で作動し、5.0Vまで低下しても保持できます。
電圧 |
消費電流 |
13.5V |
約400mA |
12.0V |
約300mA |
10.0V |
約250mA |
8.0V |
約200mA |
消費電流を抑える方法
過給圧制御ソレノイドは基本的にアクセルペダルを踏むたびに作動しています。電流は比較的少量ですが、少しでも抑える方法を紹介します。この方法は数値は違えど、他のソレノイドバルブなどにも適用できるので参考になると思います。
このソレノイドの作動に必要な電流は約200mAです。
22Ωの抵抗を直列につなげると約200mAに抑えられます(電圧12.0V時)。
このソレノイドの作動保持に必要な電流は約100mAです。
作動するには最低限200mAは必要ですが、一旦作動すれば約100mAの少ない電流で保持できます。
抵抗と電解コンデンサーを並列接続したものを回路に直列につなげると、作動中の電流を100mA〜200mAに抑えることができます。
No. |
追加するもの
(電解コンデンサー + 抵抗) |
消費電流 |
1 |
470μF + 100Ω |
約100mA |
2 |
330μF + 56Ω |
約150mA |
3 |
220μF + 33Ω |
約200mA |
※余裕を見て12.0Vで確認したデータ |
No.1の場合、470μFは作動用で、100Ωは作動を保つための保持用です。
電源が入った瞬間に470μFを通った電流でソレノイドが作動し、その後は100Ωを通った電流で保持されるのです。
抵抗値を小さくすればコンデンサーの容量も小さくできますが、消費電流は増えます。
100Ω以上にしてしまうと、どんなにコンデンサーの容量を大きくしても、保持に必要な電流約100mAを下回ってしまうため作動できません(作動しても一瞬で停止します)。
関連ページ
基本資料 〜 ECCSコントロールユニット
基本資料 〜 過給圧制御システム
基本資料 〜 過給圧制御カット
基本資料 〜 レギュラー判定実験
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