コンプレッサーが動かない
コンプレッサーの故障 (メンテナンス)
E-FPAY31シーマ、E-PAY31セドリック・グロリア (電子制御エアサスペンション装着車)に適用
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これがエアサスのエアコンプレッサー
単にコンプレッサーやポンプと言うこともある
概要
2005年3月、走行距離17万8千kmの頃、コンプレッサーが作動しなくなり、新品に交換しました。
コンプレッサーとは、エアサス車の車高を上昇させるために必要な圧縮空気を供給する部品です。エンジンルーム右側(ボンネットを開けて向かって左側)のバッテリーの後方、ストラットハウジング内にあります。
症状
1.コンプレッサーが動かない。
2.車高インジケータが点灯しているのに車高が上がらない。
3.エアサススイッチがロックされる(スイッチを押しても切り替わらない)。
4.エアサスの自己診断機能が開始できない。
(エアサスコンプレッサーのヒュージブルリンク FL#3「A.SUSP.
FL30A」は正常)
原因
エアコンプレッサー内に組み込まれているサーモスイッチの故障。
修理費用
87,865円(税抜き) (この他にレンタカー代がかかった)
交換の目安
約15〜20万キロ/交換くらいか? このくらいになるとコンプレッサー内部にサビが発生してモーターの回転に支障を来す恐れがあります。その状態で無理に回転させていると、モーターが焼き付くか、焼き付きを防止するためのサーモスイッチ自体が壊れてしまいます。
コンプレッサーの作動音がうるさいと感じた時、または振動をひどく感じる時は、コンプレッサー内部にサビが発生している可能性があるので要注意です。この場合はインシュレーターを交換しても騒音や振動は治まりません。
コンプレッサーASSYの分解図

今回の修理で、この図のASSY(部品一式)を交換した
日産とのやりとり
(長いので読み飛ばしてください)
1.日産にクルマを持ち込む
以前から気になっていた「フットブレーキから足を離したときにリアがグッ!と音を立てて沈む感じがする」という症状を診てもらおうと、日産にクルマを持ち込みました(18時頃)。いつものように整備工場の工場長が対応してくださいました。
しばらく診察していましたがエア漏れは見つからずで、どういうわけかセンサーを調整してリアの車高を上げられてしまいました(自分ではいじったことないのに!)。
「これでしばらく様子を見てください」ということでしたので、帰ることにしました(19時半頃)。
2.日産を出てから
しかし、異常に気がついたのは日産を出てすぐでした。コンプレッサーがグググッ!と変な音を立て始め、しばらくすると鳴りやみました。その後は車高インジケータは頻繁に点灯しているのにコンプレッサーの音は一向に聞こえてきません。
愛車にはエアサスのインジケータキットを装着しているので、インジケータの点灯とコンプレッサーの作動は必ず一致するはずなのですが、コンプレッサーは動いていないようでした。すぐに近くのお店の駐車場に入ってクルマを止め、ボンネットを開けて見たら案の定、動いていませんでした。コンプレッサーを触ってみるとかなり熱くなっていましたので、サーマルシャットダウン(異常な温度になったため停止)したのだろうと思い、冷めるまで少しお店で時間をつぶしました。
しかし、コンプレッサーは動くことはありませんでした。しかも、さっきまで正常に動いていたエアサススイッチがロックされ、SPORTYから切り替わらなくなっていました。
日産で車高調整するときに何度もアップダウンしたから加熱しておかしくなったのでは?と考えつつ、このままでは車高が下がったら下がりっぱなしになって少しの段差でも乗り越えられず脱出できなくなる可能性があるため、さっきの日産にTELしてすぐに戻ることにしました(20時頃)。
3.また日産に戻って
また工場長が対応してくださいました。時間も時間なので先ほど点検してくださった整備の方はもう帰られましたので、工場長自らの診察となりました。整備工場は半地下にあるので急な坂を下らなければならず、しかもやや車高が下がってきていたので、エアロがすれすれの状態でやっとピットに入ることができました。
自分は、もう閉店の時間で電気が消されて暗いショールームから、整備の様子をじっと眺めていました。
ところが、何度もエンジンをかけ直すばかりで進展がまったくありません。どうやらエアサスの自己診断機能をやろうとしているのですが、その機能すら動かないようです。「何度やってもダメなものはダメなのに・・」と思いながらも黙って眺めていると、今度はコンプレッサーをたたく仕草が見えました。しかし、それ以上の進展はありませんでした。
工場長が自分のところに来て「エアサススイッチは切り替わるようになりましたが、自己診断が動かないのでわかりません」など言ったので、「診断テスターはやってみました?」と尋ねると、「あの型は使えないんですよ」という想定外の返事が返ってきました。「えぇ?あのクルマ、後期型だから使えるんですよ!」。ここの工場長は後期型からコンサルトが使えることを知らなかったのだ。
工場長に「車高調整するときに何度もアップダウンしたから熱でおかしくなったのでは?」と尋ねてみると、「いままでコンプレッサーが焼き付いたということは聞いたことがないので・・」と、答えになっていないような・・・(21時頃)。
4.見るに見かねて
もう数人しか残っていない整備工場にお邪魔し、自分も加わって診察することにしました。
自分:「コンプレッサーのコネクタは点検しました?」、工場長:「赤いコードには電気が来ていますが動かないんです。マイナス側でコントロールしているのかもしれませんけど・・」、自分:「(工場長が見ていた整備書の回路図を見て)コンプレッサーはプラスコントロールですね」。ここの日産には31シーマ用の整備書は追補版Iしかないらしい。
自分:「サーモスイッチが切れたんじゃないですか?」、工場長:「100℃で働くスイッチですので、もし100℃以上でしたらヤケドするくらい熱いはずです。一応濡らしたタオルを当てて冷ましましたが動きませんね」
自分:「フタを開けてみました?」、工場長:「いいえ、そこまではやってません」自分:「手で回せば焼き付いてるかどうかがわかりますよ」、(工場長がフタを開けてドライバで動かしてみた)工場長:「回りますね」
自分:「モーターの抵抗を測ってみましょう」、工場長:「(テスターの針が振れるので)つながってますね」(しかし0Ω付近ではない)
工場長:「ここに電源つなげてみましょう」。バッテリーを直接つなげてみたが動かない。自分:「なんでだ?」

自分:「もう一度手で回しながら抵抗を測ってみましょう」、工場長:「(テスターの針が振れるので)変化ありますね」、自分:「モーターはつながってるみたいなのに・・」
自分:「電源をつなげながら手で回してみましょう」、(それでも動かない)
5.ということで
コンプレッサーの内部が故障していることがほぼ確実となりました。 このまま乗って帰るのにしても、車高が下がってきているので、半地下の整備工場からは出られません。
自分:「(チャージバルブを指差して)ここから空気入れたら上がるんですけどね」、工場長:「上がりますかね?」、自分:「だってそのためのバルブでしょう?!」。工場のエアコンプレッサーからホースを引いてきてつないでみた。エンジンをかけないと供給バルブが開かないのでエンジン始動。自分:「お〜凄い!!」、一気に車高が上がりました。

エアコンプレッサーASSY
6.どうするか
このまま乗って帰ることはできても、明日の朝、駐車場(坂の途中で段差もあるところ)から脱出できなくなる可能性があること、そして部品入荷が何日かかるか今の時点では(もう夜中でオフラインになっているので)わからないので、クルマを預けて帰ることにしました。しかし、問題は代車がないこと。時期的に車検や点検の予約がいっぱいで代車が空いていないということでしたので、レンタカーを借りることになりました。レンタカー屋まで工場長が新型NOTEで送ってくれました。レンタカーは初代キューブ。これでようやく帰路につけました(22時頃)。
7.預けてから2日後
週が明けて工場長から「コンプレッサーの熱は完全に冷めましたが動きません」とのTELがあり、部品交換が確実なものとなりました。
工場長:「コンプレッサーですが、78000円しますけど・・」、自分:「しょうがないですから交換してください」、部品の入荷は3日後になるとのこと。
自分:「取り外したコンプレッサーはとっておいてくださいね」、工場長:「わかりました。クルマに積んでおきます」
8.預けてから6日後
直ったとのTELがあり仕事が終わってから日産に行きました。また工場長が対応してくださいました。
工場長:「これが交換したコンプレッサーです」、自分:「(取り外したコンプレッサーを見ながら)このインシュレーターだけ新品なんですよ(笑)」
自分:「ああ、これなら自分で交換できたかも」そうは思ったものの、自宅ガレージもなければ代車もないので結局は頼むしかなかったのです。
ところが、今回日産に行くきっかけとなった不具合のことを聞いてみると、まったく対応していないどころかそんなこと聞いた覚えもない様子。再現させようとしたが、再現しなかったため、またしばらく様子を見ることになり、日産を出ました。
請求金額:87,865円(税抜き) |
レッドステージ 日産サティオK店 |
費目 |
コード |
作業内容および部品名称 |
記号 |
数量 |
技術料 |
部品代 |
用 |
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車高下がり、上がらず |
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技 |
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コンプレッサー作動点検 |
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技 |
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★エアーコンプレッサー不良 |
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技 |
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エアーコンプレッサー |
交換 |
|
9,865円 |
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部 |
5340017V01 |
#コンプレッサー、エアー |
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1 |
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78,000円 |
※その他、代車(レンタカー)代
1日4,000円×6日間=24,000円が別途請求された。トータル7日間のレンタルだったが初日は夜10時頃と遅かったためノーカウント。
※この修理の他、パワーステアリングオイル漏れ修理、ベルト交換も同時にやってもらったため、今回はトータル155,122円(税込み)かかった。
※エアーコンプレッサーは、一式4.5kg。 |

新しいエアーコンプレッサーASSY
ASSY(アッシー)とは部品一式のことで、
コンプレッサーASSYには排出バルブやドライヤーなどが含まれる。
分解してみました!

モーターはこんなにサビていた

カーボンブラシはまだ使えそう
上に付いている細長い部品はサーモスイッチ。100℃以上でOFFになる。

シリンダーヘッドは異常なし
黒いキャップがしてあるところがチャージバルブ(チェックバルブとも言う)。
ここからエアを供給できる。ただしタイヤの空気入れには合わない。
グレーの綿みたいなのはエアフィルター。詰まりはないようだ。
注:カバーを外すと基本的にガスケットは再使用できなくなる。

排出バルブは異常なし
これは車高を下げるときに作動する。作動時に0.9A(12V時)の電流が流れる。
極性はない。
電流を切ったときの接点でスパークがもの凄い。

ピストンは異常なし

ドライヤーは異常なし
ドライヤーは吸入した空気を乾燥させる部品。中身のつぶつぶは乾燥剤のシリカゲル
異常発見!!
サーモスイッチの両極の抵抗を測ってみると100〜140Ωでした。触ると抵抗が変化するので何か不安定です。サーモスイッチは通常0Ωなので、これはおかしいと思い分解!。いじっているうちに0Ωになったので接点が接触不良だったようです。
↓これが壊れていた!!!

サーモスイッチの中で接触不良を起こしていた
こんなに小さい部品で耐圧は大丈夫なのだろうか?
車高が高めになった
そういえば納車時に工場長が「車高は標準に直しました」と言っていたけれど、特にリアが今までよりもかなり高くなってしまいました。乗り心地は良くなったけれど、なんて言ったらいいのか視線の関係か?シートの座り心地が悪くなってしまいました。
自分で車高センサーはいじったことはないが、今までの車高がおかしくなっていたのかなと思い、早速測ってみると、なるほど車高基準値の許容範囲ではあるものの、どうやらその許容範囲の高い方に設定したようです。車高を落としているオーナーさんから見ると、「なんでHIGHにしてるの?」って言われそうです(笑)。仕方ないのでエアサスキットでリアの車高をマイナス1段下げて走りこともしばしば・・。
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