表示誤差が大きい
スピードメーターの故障1
(メンテナンス)
Y31シーマおよびY31セドリック・グロリアに適用
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市販のスキャナの表示は40km/hだが、純正のスピードメーターは96km/hを指している
概要
2009年8月、走行距離25.6万キロの頃、スピードメーターが実際の速度より速い速度を表示するようになりました。
スピードメーターの基板のハンダ補修で直りました。
症状
・スピードメーターの表示が実際の速度よりも2〜3倍速い。
・コンビネーションメーターの周りをたたくと直ることがある。日が経つにつれ直りにくくなっていった。
・停車して針が0km/hに戻るまでに時間がかかるようになった。
(※実際の速度とは診断コネクタにつなげたスキャナーの速度表示のこと)
故障探求
1. 先ずはどこが異常なのか絞り込む
症状が出ている部分と症状が出そうだけど出ていない部分を洗い出しました。
症状が出ている部分はコンビネーションメーターのスピードメーターだけです。
スピードメーターは車速によって動くので、症状が出そうで出ていない部分は車速に関わる部分です。つまり、車速に応じてステアリングの固さを変えているパワステや車速感応集中ドアロックがそれです。これらはいまのところ正常に作動しています。
また診断コネクタにつなげたスキャナーの速度表示も正常でした。ということはECCSコントロールユニットも正しい車速を認識しているということです。つまりこれはコンビネーションメーターからは正常な車速信号が出ているということです。
コンビネーションメーターのコネクタで車速に関する端子が接触不良になるとメーター外でも症状は出るはずですが、出ていないのでなので故障しているのはスピードメーター内の極限られた部位であるといえます。
2. 次に様子を見る
故障しているのはスピードメーター内であることはわかりましたが、それがどんな壊れ方をしているのかを探ります。
叩いたり走行中の振動で直るかどうか、気温(車内温度)に関係あるかどうかなどを常に気にしながら観察します。
しばらく様子を見ていると振動で直ることがあり、気温には関係ないことがわかりました。
3. 次に頻繁に壊れるまで待つ
症状が現れたり現れなかったりしていたので、いざ修理するときに症状が現れないと直しようがないため、頻繁に壊れるまで(頻繁に症状が出るまで)待ちました(これは運転に支障がない場合に限ります)。
かくしてかなり高い確率で症状が出るようになったのでコンビネーションメーターを取り外して修理することにしました。
4. 基板を確認する
スピードメーターの基板上の故障となると疑わしきはハンダ割れなので、まずはハンダの状態から確認しました。
故障しているのはスピードメーター内の極限られた部位であることはわかっていますが、それが基板のどの部分なのかはまだわからないので、すべて確認します。
目視ではわからなかったので、とりあえず熱に弱いチップ部品を除くすべての部品のハンダを溶かし直すことにしました。特に使用中に熱を帯びると思われる部品のハンダは一度ハンダ吸取器で除去してから新しいハンダを盛りました。
しかし、これでも直りませんでした。

スピードメーターの基板(ハンダ面)
5. 基板を再確認
ハンダ割れではなく部品が壊れている可能性もあるので、基板のハンダ面に直接手で触れて変化があるか調べてみました。人間の手は多少の電気が流れるので、変化があるところを重点的に見ます。
そうこうやっているうちに基板が反ると変化があることがわかりました。これはハンダ割れかパターン切れ、もしくは抵抗やダイオードなどの部品の亀裂、コンデンサーなどの部品の足抜けなどが考えられます。そこで棒で各部品を押してみて変化があるかどうかみました。ところが変化はありませんでした。
ただ部品を押したときに基板が反ると変化が起きるので、やはりどこかが怪しいことには違いありません。
一つ一つの部品の状態を確認していたらコンデンサC6(16V10μF)が熱を帯びたような跡があるのを見つけました。外してテスターの静電容量計で測ったら9μFでほぼ正常でしたが念のため新品に交換しました。
これでもまだ直りませんでした。


赤丸の怪しいコンデンサを交換したが直らなかった
(コンデンサの黒い被覆が縮んで途中が膨らんでいる)
6. チップ部品のハンダを補修してみる
基板が反ると変化があるので、反らす方向と基板のパターンの関係に注目して見ていたら、ハンダ補修のときに敬遠していたチップ部品が怪しく思えてきました。
そしてチップ部品のハンダを溶かし直したら症状が出なくなりました。もう基板を反らせても平気です。
修理
チップ部品のハンダの溶かし直しで直りました。
コンデンサー(C6)は新品に交換しましたが、これはおまけ程度で症状には関係なさそうです。

チップ部品のハンダ割れが原因だったようで基板を反らしても平気になった
最後に調整
止まっていた積算距離計を走った分だけ進めました。
実際に走行してみて、スキャナーのスピードとの誤差(-5km/h)を確認しました。さらに以前調べたデータとも誤差(-5km/h)を確認しました。
そしてデータを基に275Hzのパルス入力時に100km/hを示すように微調整しました。
参考ページ:
アナログメーターの特性と調整

直ったみたいなので微調整275Hz=100kmで調整した
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関連ページ
基本資料 〜 アナログメーターの特性と調整
基本資料 〜 車速信号
コネクタ表 〜 アナログメーター
メンテナンス 〜 アナログメーターの点検基準値
メンテナンス 〜 コンビネーションメーターの外し方
メンテナンス 〜 スピードメーターの故障
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