初代シーマに乗ろう サイトマップ

ホーム > 空調 > エアコンの故障 > 冷風が出ない

公開日:2008年10月29日
最終更新日:2009年10月13日

温風しか出ない

エアコンから冷風が出ない
(メンテナンス)

上のページへ

Y31シーマおよびY31セドリック/グロリアの
オートエアコン・ITエアコン搭載車に適用


オートアンプ 28525-45V00


概要

2008年9月、Y31シーマのお友達トミーさんのエアコンが温風しか出ないので、オートアンプ(部品番号:28525-45V00)を預かって点検しました。
基板のハンダの付け直しで直りました。


オートアンプ(部品番号:28525-45V00)の内部(表)



オートアンプ(部品番号:28525-45V00)の内部(裏)




症状

掲示板でお聞きしていた症状は、

・ 温風しか出ない(たまに冷風が出る)
・ 設定温度を変えても吹出口が足元のまま。
エアコンの自己診断機能では25(26?)が出る。
・ 突然停電する。エンジンをかけ直すと動き出す。
・ エアコンの排水が出ない。

です。エアミックスドアアクチュエーターは交換したことがあるそうです。


愛車に装着したお友達のオートアンプ

マルチAVシステム車にも標準タイプのオートアンプが設置可能だが、
CDオートチェンジャーの表示とスイッチがないため、CDは使えなくなる)



オートアンプを預かり、愛車に装着して症状を確認してみました。

・ なま暖かい温風しか出ない。コンプレッサーは動くが冷風が出ない。
・ 設定温度を変えたとき、それにともなう吹出口の表示は正常に切り換わるが、実際は足元固定。
・手動で風量3にしても風量2の風量と変わらない(ただし、デフロスターの状態では風量3で最大風量になる)。
・ デフロスターにすると正しく吹出口が切り換わる(ただしなま暖かい風しか出ない)。
・ デフロスターの状態からエアコン(またはエコノミ)スイッチを押しても吹出口が変化しない(しばらくしてから切り換わることもあった)。
エアコンの自己診断機能では26(=PBR)が出る。 
エアコンの自己診断機能では温度センサー検出温度は、外気:33℃、内気:34℃、吸い込み温度:27℃でおそらく正常。



原因

オートアンプ内部のハンダ劣化。
一部の部品の加熱・冷却の繰り返しが大きな原因と思われる。


費用

0円



基板の確認と修理

考えられる原因は、
・ モードドアアクチュエーター制御系統の不良(オートアンプ内)
エアミックスドアアクチュエーター制御系統の不良(オートアンプ内)
・ その他電源系統の不良(オートアンプ内)

です。すべてオートアンプ内に原因があると考えました。

というのも、愛車に装着して症状が出るということは、オートアンプに原因があることしか考えられないのです。

ということで基板を確認することにしました。
 


ハンダが盛り過ぎなのは、すでに誰かの手によって成された結果


基板裏を見ると、すでにハンダを付け足した跡がありました(周りにハンダのヤニが付いているのと、ハンダが盛り上がっているのでわかりました)。それもアクチュエーターを作動させるモータードライバーなどの主要な部品のところです。的を得た直し方なので、うちのサイトを見てやったのでしょうか?。

それはさておいて…
 


ハンダの表面がうろこ状になっていた



あまり良い状態ではなかった



とりあえずオートアンプの基板裏のハンダに新しいハンダを溶かし込みました。
チップ部品を除く主な部品は、できる限り古いハンダを取り除いてから新しいハンダを溶かし込みました。
 


古いハンダをハンダ吸取器で取り除いたところ。
このあと仕上げのハンダ付けを行う


古いハンダはなかなか溶けず、溶けても吸い取りにくい場合があります。こんなときは、先に新しいハンダを溶かし込んでおくと、溶けやすく吸い取りやすくなります。そして新しいハンダを溶かして流し込みます。

以上、これで完治しました。


確認したこと

自分のオートアンプもハンダ割れが原因で壊れたことがあったので、以前から不審に思っていたモータードライバーの発熱に関する確認をしてみました。
先ずはモータードライバーにどんな信号が入っているか調べるため、マイコンHD6305のI/Oピン45、46、47、48の出力を確認しました。
電源電圧は13.00Vとしました。
 

マイコンHD6305
のI/Oピン
モータードライバーTA8050P
の入力ピン
BAT電源ON、
IG電源OFF時
BAT電源ON、
IG電源ON時

補足

45 モータードライバー2のDT1 0V 0V DT1:L、DT2:H
(リバース状態)
46 モータードライバー2のDT2 0V 5.0V
47 モータードライバー1のDT2 0V 0V DT1:H、DT2:L
(リバース状態)
48 モータードライバー1のDT1 0V 5.0V

※モータードライバーのDT1は左から1番目の入力端子。DT2は左から2番目の入力端子。


モータードライバーはいつもリバース状態で待機していました。
BAT電源ON、IG電源OFFのときの消費電流は0.00A、BAT電源ON、IG電源ONのときの消費電流は0.28Aでした。オートアンプにBAT電源とIG電源だけを接続しただけでこれだけの電気を消費します。そのほぼ100%はモータードライバーが消費し、無駄な熱エネルギーになって消えていきます。この発熱はハンダ割れを助長させてしまう恐れがあります。エアコンを使っていなくても キースイッチが「ON」の位置なら発熱します。これはそういう設計なので仕方がありません。いまのところどうすることもできないので、モータードライバーに放熱器を取り付けたりオートアンプのケースに穴を開けるなどして熱がこもらないようにすることぐらいいしかできません。

BAT電源ON、IG電源ONのときの消費電流が0Aのときは、マイコンやモータードライバーに通電していないことが考えられるため、ハンダ割れや接触不良を疑っても間違いないです(このときはモータードライバーは発熱していないはずです)。

※実車で確認したところ、車内温度と設定温度を近づけると(オートで吹出口が上下になるように温度設定した時)、モータードライバーは発熱しないことがわかりました。この状態から設定温度を18度にしたら(車内温度との差を大きくしたら)、モータードライバーは発熱しました。


<参考>


先に溶かし込んだハンダ
goot 精密作業用はんだ SD-34 線径:0.8mm 融点:183〜190℃ ヤニ入り 280円 溶けやすいハンダ。

仕上げに使ったハンダ
goot 耐・熱疲労はんだ「パワーソルダー」 SE-26210PL 線径:1.0mm ヤニ入り 880円 電子部品の発熱や冷却による温度変化の繰り返しによって起こるはんだのクラックに対する耐クラック特性に優れている(共晶はんだと比べて、熱衝撃試験(-40℃〜80℃、各30分、400サイクル)のクラック発生率が1/8以下)。

ハンダゴテ
goot CXR-30(22Wハンダごて)のヒーターをCXR-40H(30Wヒーター)に、コテ先をPX-60RT-Bに交換したモノを使った。
30Wヒーターでは熱すぎる感じがしたので、25Wくらいがちょうど良いと思う。

ハンダ吸取器
goot Solder Sucker GS-55を使ったが、やや大きめのモノなら何でも良い。



上のページへ



関連ページ


基本資料 〜 エアコンの自己診断機能
基本資料 〜 エアコンリレー
基本資料 〜 ブロアHiリレー
コネクタ表 〜 オートアンプ
コネクタ表 〜 エアミックスドアアクチュエーター
メンテナンス 〜 クラスターリッドCの外し方

 

ホーム | サイトマップ | このサイトについて | ご利用条件 | プライバシーポリシー
© 2004-2019 初代シーマに乗ろう実行委員会