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公開日:2006年9月22日
最終更新日:2014年6月7日

エアコンの温風と冷風を混ぜるとびらを開閉します

エア ミックス ドア アクチュエーター
Air Mix Door Actuator
(コネクタ表)

Y31シーマ全車および
Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用

部品番号:27732-14V00(フロント用、リア用共通)


グローブボックスを外すと見えます

Y31シーマのフロントシステムの配線図はこちら
Y31シーマのリアシステムの配線図はこちら


エア・ミックス・ドア・アクチュエーター

エアミックスドアアクチュエーターは、エアコンの主要構成部品の一つで、ヒーターユニットに取り付けられています。

Y31シーマのような前後独立温調エアコン(ITエアコン、IT:Independent Temperature control)には、フロント用とリア用の2つアクチュエーターがヒーターユニットに取り付けられています。


ヒーターユニット



ヒーターユニット

エアミックスドアとは、直訳すると空気混合扉で、温風と冷風を混ぜるとびらのこと。エアミックスドアの開度によって吹き出し風温度が変化します。エアミックスドアをHOT側に移動したりCOLD側に移動したりすることで、エアコンの吹出口から温かい空気が出たり冷たい空気が出たりするのです。エアコンは、このエアミックスドアを開閉させ、車室内温度が設定温度になるように制御しています。そのドアを開閉させる装置のことをアクチュエーターと言います。

またエアミックスドアと連動してヒーターコックも開閉します。
ヒーターコックは冷却水の通路に設けられていて、エアミックスドアをHOT側に移動するとコックが開き冷却水が多く流れるようになります。


エアミックスドアアクチュエーター
(右側のアーム・リンクロッドが下がる(反時計回り)とCOLD側、上がる(時計回り)とHOT側)


エアミックスドアアクチュエーターは、オートアンプによりモーターを正転/逆転/停止させて、エアミックスドア開度の制御を行っています。

リアエアミックスドアアクチュエーターについては、リアITコントロールのテンプコントロールレバー(PTC)の位置に応じてリアエアミックスドアの開度を制御しています。テンプコントロールレバーを操作すると、フロントエアミックスドアの開度に対して、最大で±70%までリアエアミックスドア開度を調節できます。


PBR

アクチュエーターにはPBR(Potentio Balance Resistor)と呼ばれるドア開度を抵抗値に変換するセンサーが内蔵されています。

オートアンプは常にこれを監視しています。

電圧値は、コネクタ端子No.2(PBR出力)の出力電圧。ITエアコン以外の電圧値の最高は5.0V。
 


配線図



 



エアミックスドアアクチュエーターの内部配線図
(フロントエアミックスドアアクチュエーターとリアエアミックスドアアクチュエーターの内部は同じ)




可動接点(図のオレンジ色の部分)がCOLD側まで動くと、接点が途切れてモーターが停止する


 
可動接点(図のオレンジ色の部分)がHOT側まで動くと、接点が途切れてモーターが停止する



コネクタ表


接続端子はすべてオートアンプにつながっています。
リアエアミックスドアアクチュエーターについてはITアンプにつながっています。
ITアンプとはエアコンのリア側システム用のアンプです。
フロントもリアもアクチュエーター自体は同じ物です。

フロントエアミックスドアアクチュエーター

1 3 × 4
2 5

コネクタ色:黒

端子
No.
名称 コード 電圧 内容
太さ
1 PBR電源 ピンク - 2.14V オートアンプの端子No.28につながっている。端子No.1とNo.3間の抵抗値は680Ω付近一定(コネクタを抜いて測定)。
2 PBR出力 0〜2.14V、

ITエアコン以外は0〜5.0V

オートアンプの端子No.27につながっている。ITエアコンの場合は、ITアンプの端子No.25にもつながっている。

テスターでPBR出力電圧を測定する場合は、ここにテスターのプラスをつなげる(コネクタをつないで測定する)。
エアミックスドア開度がCOLD側(開度0度)の時は0V、HOT側(開度約83度)のときは2.14V)(ITエアコン以外では5.0V)。

以下は愛車で内気温度23℃位の時に測定したデータ。計測はコネクタを抜いて行った。
・設定温度を18℃にしたときの端子No.1〜2間の抵抗値は650Ω。
・設定温度を18℃にしたときの端子No.2〜3間の抵抗値は15Ω。
・設定温度を32℃にしたときの端子No.1〜2間の抵抗値は160Ω。
・設定温度を32℃にしたときの端子No.2〜3間の抵抗値は500Ω。
内気温度により抵抗値は変わってくるので参考程度に。
3 PBRアース
(エアコン各センサー共通端子)
- オートアンプの端子No.16につながっている。

テスターでPBR出力電圧を測定する場合は、ここにテスターのマイナスをつなげる。
4 モーター(-) 12V/0.4V/0V オートアンプの端子No.18につながっている。
こちら側をプラスにするとフロントエアミックスドアがHOT側に移動する。
モーターの電流は21mA(DC13.5V時、リア用で測定)。

可動接点にリミッター(非通電位置)があるので、電源つなぎっぱなしでも端まで回れば止まる。

モーター回転中のマイナス側端子、およびモーター停止中の両端子には0.4Vくらいの電圧が加わっている。
停止するときに両端子をアースに落としてブレーキをかけているようである。

端子No.4とNo.5間の抵抗値は190Ω(可動接点のリミッター(非通電位置)を越えているときは片方向しか測れない)
5 モーター(+) オートアンプの端子No.19につながっている。
こちら側をプラスにするとフロントエアミックスドアがCOLD側に移動する。



リアエアミックスドアアクチュエーター

1 3 × 4
2 5

コネクタ色:黒

リアエアミックスドアアクチュエーターは、フロントエアミックスドアアクチュエーターのPBR出力を基に相対的に作動します。よってフロントエアミックスドアアクチュエーターに何らかの異常がある場合は、リアエアミックスドアアクチュエーターも正常に作動しません。リアエアミックスドアアクチュエーターの動きがおかしいと思った時は、まずはフロントエアミックスドアアクチュエーターから点検します。

端子
No.
配線図の端子No. 名称 コード 電圧 内容
太さ
1 43 PBR電源 2.14V ITアンプの端子No.20につながっている。端子No.1とNo.3間の抵抗値は720Ω付近一定(コネクタを抜いて測定)。
2 44 PBR出力 ピンク - 0〜2.14V ITアンプの端子No.21につながっている。

テスターでPBR出力電圧を測定する場合は、ここにテスターのプラスをつなげる(コネクタをつないで測定する)。
エアミックスドア開度がCOLD側(開度0度)の時は0V、HOT側(開度約83度)のときは2.14V。
3 45 PBRアース - ITアンプの端子No.24とリアITコントロールの端子No.5(リアPTC)につながっている。

テスターでPBR出力電圧を測定する場合は、ここにテスターのマイナスをつなげる。
4 42 モーター(-) 薄緑 - 0V/12V ITアンプの端子No.18につながっている。
こちら側をプラスにするとリアエアミックスドアがHOT側に移動する。
モーターの電流は21mA(DC13.5V時)。

可動接点にリミッター(非通電位置)があるので、電源つなぎっぱなしでも端まで回れば止まる。

モーター回転中のマイナス側端子、およびモーター停止中の両端子には0.4Vくらいの電圧が加わっている。
停止するときに両端子をアースに落としてブレーキをかけているようである。

端子No.4とNo.5間の抵抗値は190Ω(可動接点のリミッター(非通電位置)を越えているときは片方向しか測れない)
5 46 モーター(+) ITアンプの端子No.19につながっている。
こちら側をプラスにするとリアエアミックスドアがCOLD側に移動する。
 


故障かなと思ったら・・

設定温度を上げても冷風しか出ないときは、エアミックスドアアクチュエーターが作動していないことが考えられます。以下の手順で点検してみてください。

点検1:エアコンをONにし、風量と吹出口を固定してから設定温度を変化させてもアクチュエーター(モーター)の音が一向に聞こえないときは、エアミックスドアアクチュエーター系統の故障が考えられます。その症状が時々起こるようならPBRの故障も考えられます。

点検2エアコンの自己診断機能を実行してみます。ステップ2で"26"や"-26"が表示されたらエアミックスドアアクチュエーターのPBRが故障していると考えられます。

点検3:目視による点検。グローブボックスを外してアクチュエーターの動きを確認できるようにします。アクチュエーターのアームやリンクロッドの破損などがないか調べます。

点検4:アクチュエーターにコネクタをつなげたままで端子No.4と5にテスターをつなげて電圧を測ってみます。通常は端子の両端にバッテリー電圧が加わりますので、テスターは直流電圧の12Vが測れるレンジにします。もしエアコンを操作しても電圧が0Vのままならオートアンプの故障か、オートアンプからコネクタまでの断線が考えられます。

点検5:アクチュエーターからコネクタを抜き、アクチュエーター側の端子No.4と5にテスターをつなげて抵抗を測ってみます。テスターのリード棒を入れ替えても抵抗値が∞Ω(導通なし)の場合は、モーターまでの断線かモーターの故障、あるいはモーターが反動で回りすぎて可動接点から逸脱してしまっていることが考えられます。断線か故障の場合はアクチュエーター内部を点検します。可動接点から逸脱してしまっているようなら、少々堅いですが手でアームを動かすと回り出すこともあります。堅すぎて動かない場合はアクチュエーターを分解すれば軽く手で回せます。
テスターで測った抵抗値が190Ω付近なら正常です。

点検6:アクチュエーターからコネクタを抜き、アクチュエーター側の端子No.1〜3にテスターをつなげて抵抗を測ってみます。どこを測っても抵抗値が∞Ω(導通なし)の場合は、アクチュエーター内部の断線ですので、アクチュエーターを分解して内部を点検してみます。基板上のハンダ部分で接触が悪くなっていることもあるので、ハンダゴテでハンダをつけ直してみると直ります。目視ではわかりにくいのですべてのハンダについて処置しておきます。
端子No.1と3間の抵抗値が680Ω〜720Ω付近なら正常です。端子No.1と2間、および、端子No.2と3間の抵抗値が0Ω〜720Ωの間なら正常です。


リアエアミックスドアアクチュエーターをテスターで点検しているところ

点検7:ITエアコンの場合はエアミックスドアアクチュエーターは2つあるので、もう1つの方も点検してみます。これは片方のアクチュエーターが正常でも、もう1つのアクチュエーターが故障していると動作が不安定になってしまう(あるいは動作が制限されてしまう)からです。例えば故意にフロントエアミックスドアアクチュエーターのコネクタを抜くとリアエアミックスドアアクチュエーターが動き出すことからもわかります。
オートアンプやハーネスが異常なのかアクチュエーターが異常なのかは、フロント用のコネクタと、リア用のコネクタを入れ替えてみるとわかることもあります。

点検8:エアミックスドアアクチュエーター単体には異常がない場合には、オートアンプの故障が考えられます。→オートアンプの基板のハンダ割れをご覧ください。


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