公開日:2015年3月19日
最終更新日:2018年10月28日

エアコンのブロアモーターをバッ直します

ブロアHiリレー

Blower Hi Relay

カテゴリー : 基本資料

Y31シーマ全車およびY31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用

グローブボックスを外さないとブロアHiリレーは見えない
(リレーが黒く汚れているのは気にしないでください 笑)

概要

ブロアHiリレーはエアコンの風量が最大のときに作動するリレーです。
オートアンプからの制御により、ブロアモーターをHi(電源電圧)で回します。

Hiは「ハイ」と読みます。

ブロアモーター風量制御リレーやメインリレーという呼び方もします。
単にHiリレーと書いたり、片仮名でブロアハイリレーと書くこともあります。

取付場所はダッシュサイド左上、エアコンインテークユニット手前のSMJ(スーパーマルチジャンクション)の奥です。ここはグローブボックスを外さないと見えません。

リレー型式:1M、リレー部品番号:25230-C9980、リレー識別色:青色

リレーを使うわけ

通常、エアコンの風量制御はファンコントロールアンプが行っていますが、ファンコントロールアンプ自体に電圧降下(電源電圧-約2V)があるため、最大風量が得られません。

最大風量を得たい時(オートまたはファンスイッチ操作による手動選択で最大を選んだ時)のみブロアHiリレーを作動させ、ブロアモーターをバッ直状態にしています。これにより、ブロアモーターが電源電圧(Hi)で回転します。

※Y31セドリック/グロリアのマニュアルエアコンや後付けオートエアコンの場合は、「ブロアファンリレー1」が相当します。

壊れるとどうなるか

リレーが故障したり、コネクタを抜いたままにしたり、配線が切れたりすると、下記の症状になります。

●最大風量が得られなくなる

リレーが動かなくなった場合は、最大風量が出ません。ただし、どの風量設定でもファンコントロールアンプは生きているので、風が出なくなることはありません。オートや手動で最大風量にしても、ファンコントロールアンプで得られる分だけの最大風量となります(ブロアHiリレーのコネクタを外して確認)。

この場合の風量は、正常時より少し弱くなります。ファンコントロールアンプを通った分だけ電圧が低くなるからです。

ファンコントロールアンプが生きている以上、風が出なくなることはないので、故障に気付きにくいかもしれません。

ブロアHiリレーが正常に作動しているかどうかを調べるには、手動で最大風量にしたときのリレーの作動音を確認します。正常なら「カチッ」と音がします。最大風量からそれ以外の風量に切り替えたときにもリレーが解除する音が「カチッ」とします。ブロアHiリレーはダッシュサイド左上に取り付けられているので、その辺りから音がします。

補足 : フロントモードドアアクチュエーターが壊れると、ブロアHiリレーが正常でも、最大風量にならないことがあります。これは吹出口切替時に、風圧でモードドアが壊れるのを防ぐため、風量を抑えていることに関係しています。

●車種によっては、最大風量に設定したときのみ風が出なくなる

これもリレーが動かなくなった場合ですが、最大風量時にオートアンプがファンコントロールアンプを停止する処理を行っていると、風が出なくなります。

※車種よりも、使っているオートアンプに依存します。

※最大風量に設定した時にしか風が出ない場合は、ファンコントロールアンプかオートアンプの故障が考えられます。

※どの風量設定でも最大風量になってしまう場合は、リレーの固着や、配線の短絡、オートアンプの故障が考えられます。

ヒューズ#14が切れるとIG電源が供給されずブロアHiリレーは作動しなくなりますが、そもそもオートアンプにも電源が供給されないのでエアコン自体が使えなくなります。

●リレーが固着した場合は、最大風量のままになる

リレーの接点が固着したか、オートアンプが故障してHiコントロール入力が0V固定になったときは、どの風量に設定しても、最大風量の状態になります。接点固着の場合は、エアコンをOFFにしていても最大風量の風が出続けます。

回路図

図1. ブロアモーター周辺回路図

ブロアモーターの制御はマイナス側で行っています。
マイナス側をアースすると最高の回転数が得られます。これをブロアHiリレーが行っているのです。

ITアンプの端子No.1とつながっているのは、大風量時にリアエアミックスドア開度の補正を行うための検出用と思われます。この他、図1の回路図にはありませんが、セパレートドア全開時の風量不足を補うため、ITアンプからオートアンプへ、「ブロアモーター印加電圧を1V増加」信号が送られ、連携を図っています。

図2. 図1を簡略化した回路図

図2は、図1を簡略して書いた回路図です。この回路図を基に説明をしていきます。

図3. 最大風量以外の風量時の電気の流れ

最大風量以外の風量時は、ファンコントロールアンプによってブロアモーターのマイナス側が制御され、回転が弱まります。
回転速度制御はオートアンプの端子No.4から行われます。
ブロアHiリレーもマイナス制御です。オートアンプの端子No.5をプラス電位にすることでリレー停止状態にしています。

図4. 最大風量時の電気の流れ

オートアンプの端子No.5がアース電位になることでブロアHiリレーが作動します。
ブロアモーターは、マイナス側がブロアHiリレーの接点を通って直にアースされるため、電源電圧が印加されます。これで最高速で回ります。
このときも、オートアンプの端子No.4から電気が供給されるため、ファンコントロールアンプは生きています。しかし、ブロアHiリレーの接点で短絡されているため、電流は流れません。

コネクタ表

■Y31シーマ前期/後期

■Y31セドリック/グロリア後期

ブロアHiリレーコネクタ(青色)
コネクタ記号:R-27
端子No. 名称 コード 電圧 内容
No. 太さ
1 IG電源 806 -/銀1 12V/0V ヒューズ#14を通ってくるIG電源。
リレーを作動させるために使う電源(ブロアモーターには使わない)。

リレーのコイルのプラス側につながっている。

キー「ON」で12V。「Acc」以下は0V。
2 Hiコントロール入力 807 - 約12V/0V オートアンプの端子No.5からの制御入力。

リレーのコイルのマイナス側につながっている。

最大風量時は0V。それ以外のときは約12V。

0Vのときにリレーが作動し、端子No.3と5がつながる。
3 アース 2E - 0V 常に0V。

端子No.2が0Vのときリレーが作動し、端子No.5とつながる。
5 ブロアモーター(-) 805 約12V/0V ブロアモーターへの出力。

下記の部位につながっている。
  • ブロアモーターのマイナス側
  • ファンコントロールアンプのプラス側

    リレー作動中は下記のとおり。
  • ブロアモーターのマイナス側がアースにつながるのでモーターが最高回転となる。
  • ファンコントロールアンプはプラス側もアース電位となるため電流は流れず無効となる。

■Y31セドリック/グロリア前期

ブロアHiリレーコネクタ(青色)
コネクタ記号:R-27
端子No. 名称 コード 電圧 内容
No. 太さ
1 Hiコントロール入力 807 - 約12V/0V オートアンプの端子No.5からの制御入力。

リレーのコイルのマイナス側につながっている。

最大風量時は0V。それ以外のときは約12V。

0Vのときにリレーが作動し、端子No.3と5がつながる。
2 IG電源 806 - 12V/0V ヒューズ#14を通ってくるIG電源。
リレーを作動させるために使う電源(ブロアモーターには使わない)。

リレーのコイルのプラス側につながっている。

キー「ON」で12V。「Acc」以下は0V。
3 アース 2E - 0V 常に0V。

端子No.1が0Vのときリレーが作動し、端子No.4とつながる。
4 ブロアモーター(-) 805 約12V/0V ブロアモーターへの出力。

下記の部位につながっている。
  • ブロアモーターのマイナス側
  • ファンコントロールアンプのプラス側

    リレー作動中は下記のとおり。
  • ブロアモーターのマイナス側がアースにつながるのでモーターが最高回転となる。
  • ファンコントロールアンプはプラス側もアース電位となるため電流は流れず無効となる。

Hiリレーカット

Hiリレーカットとは、ブロアHiリレーを作動させなくすることです。
カットすると、最大風量時のブロアモーターにかかる電圧がいくらか抑えられます。
ブロアモーターは圧倒的に消費電力が大きいため、オルタネーターやバッテリなどへの負担を減らす目的で、カットすることも有効と考えられます。

カットするには、ブロアHiリレーのコネクタを抜きます。
たったこれだけで、いままとほとんど変わらずエアコンが使えます。

※最大風量時にしてもファンコントロールアンプが作動するオートアンプを使っていることが前提です。
※最大風量時にファンコントロールアンプを使うことになり、その発熱量や耐久性などは未検証です。
ヒューズ#14をカットする方法ではエアコン自体が使えなくなります。