解説
このアクチュエーターは、エアコンの主要構成部品の一つで、ヒーターユニットの右側に取り付けられています。
エアコンパネルの吹出口切替スイッチまたはDEFスイッチを押したときやオートで吹出口が切り替わるときに、このアクチュエーターが動いてモードドアの開閉をしています。
モードドアにはベントドア(VENT=上吹き出し)、フットドア(FOOT=下吹き出し)およびデフドア(DEF=デフロスター)があります。配風比率を替えることでバイレベル(B/L)という、VENTとFOOTが混在したモードもあります。
オートアンプでは、アクチュエーターに内蔵されている位置検出スイッチにより現在のモードを読み込み、モーターを正転させるか逆転させるかを決定します。オートアンプは、モーターを回転させ、位置検出スイッチが目的のモードになるとモーターを停止させます。
このアクチュエーターは前席用なので「フロント~」という名称になっています。後席用には別途専用のアクチュエーターがあります。後席温調機能のないエアコンの場合は、単に「モード ドア アクチュエーター」と呼びます。
後席温調機能のあるエアコン(ITエアコン)の場合は、位置検出スイッチがITアンプにもつながっています。
ITアンプは、後席優先暖房スイッチが押されたときに、位置検出スイッチによって吹出口が下向き(FOOT)かどうかをチェックして、下向きなら後席優先暖房のインジケーターを点灯させて後席暖房を始めます。上向きと下向きが同時に表示されている時(B/L)は下向きとは見なしません。これらは設定温度に関係なく行われます。吹出口が下向き以外になったときに後席優先暖房になっていたら後席優先暖房をオフにします。
オートアンプの吹出口表示が下向きになっていても、このアクチュエーターが下向きになるまでは後席優先暖房スイッチは受け付けません。
エアコンには似たようなアクチュエーターが複数使われていますが、このアクチュエーターは緑色のハーネスチューブが目印です。
狭く暗い場所なのでピンボケになってしまいました(笑)
足踏み式パーキングブレーキの左側付近にある
部品番号
部品番号 : 27731-14V00
部品コード : 27733M
部品名称 : アクチュエーター アッセンブリー, モード
Sec-No. G2731
参考価格 : 9,800円(2005年)、11,600円(2018年、Amazon)
特記事項 : ハーネス チューブ 色 = 緑
コネクタ表
コネクタ記号:B-36
このアクチュエーターのハーネスの先にコネクタがあります(アクチュエーター自体にはコネクタはなく、コードが延びています)。
コネクタの、オートアンプ側とアクチュエーター側のコードの色は異なります。下表はアクチュエーター側のコードの色です。
下記の端子配置図はコネクタを端子側から見た図です。
6 | ● | 7 | 1 | |
2 | 3 | 4 | 5 | × |
端子No. | 名称 | コード | 電圧 | 内容 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
色 | 帯 | 太さ | |||||
1 | 位置検出スイッチ | 白 | 青 | 中 | 約5V/0V | オートアンプコネクタの端子No.12につながっている。 ITアンプコネクタの端子No.4につながっている。 |
モードドアの位置を検出するためのセンサー出力。 各モード位置によって各端子間が導通したりしなかったりする。 オートアンプはこの位置検出スイッチを使って現在のモードドア位置を検出している。 以下は壊れているアクチュエーターを使って調べたため、正確ではない可能性あり。 VENT : どの端子間も導通なし B/L : 端子No.3と.5がつながる FOOT : 端子No.2と3と5がつながる DEF : 端子No.1と4、および端子No.2と3と5がつながる |
2 | 緑 | 白 | 中 | オートアンプコネクタの端子No.13につながっている。 ITアンプコネクタの端子No.6につながっている。 |
|||
3 | 白 | 赤 | 中 | オートアンプコネクタの端子No.14につながっている。 ITアンプコネクタの端子No.5につながっている。 |
|||
4 | 青 | - | 中 | オートアンプコネクタの端子No.29につながっている。 | |||
5 | アース | 白 | 緑 | 中 | 0V | ボディーアース | |
6 | モーター | 黒 | - | 中 | 12V/0V | オートアンプコネクタの端子No.10につながっている。 | 内蔵のモーターにつながっているが、2つの整流器が直列につながっている。 電源のプラス、マイナスが入れ替わることによって正転したり逆転する。端まで動くと自動的に止まる。 コネクタを抜いた状態で端子No.6-7間に電圧を加えると内蔵のモーターが回転する。 端子No.6にプラス、端子No.7にマイナスをつなげると、黄色いアームはDEF側へ動く。端子No.7にプラス、端子No.6にマイナスをつなげると、黄色いアームはVENT側へ動く。 黄色いアームが邪魔をしてネジが外せない場合はこの端子に電源(乾電池も可能)をつなげると動く。約3Vから動くので1.5Vの乾電池2本ならゆっくりと動く。乾電池で動かす場合は9V形乾電池がオススメ。 コネクタを抜いた状態での端子No.6-7間の抵抗は約200Ω。 |
7 | 黄 | - | 中 | オートアンプコネクタの端子No.11につながっている。 |
システム図



壊れるとどうなるか
エアコンの風の吹き出し口が正しく変化しなくなり、エアコンパネルの風向きの表示と合わなくなります。
モーターの動きが鈍くなったり、ハンチング(正転、逆転を繰り返す)したり、完全に動かなくなります。
風量が最大にならなくなります。風量が1、2、3の3段階の場合、風量3にならなくなります(表示は3になっていても)。通常はモード切り換え時の風圧によるアクチュエーター負荷を軽減するために風量が抑えられますが、壊れると抑えたままになるようです。
エアコンの自己診断機能のステップ3(モード ドア位置の点検)で30以外が表示されます。
後席優先暖房スイッチが入らなくなります。これは下吹き出しにならなくなったときに起こる症状です(表示は下吹き出しになっていても)。
※オートアンプが壊れても同様の症状になるため、どちらが壊れているか見極めが大切です。
※このアクチュエーターは脱着の難易度がやや高いです。故障かなと思ったらオートアンプなどから調べると良いです。
実際に壊れたときの記事、フロントモードドアアクチュエーターの故障 もご覧ください。