エアコンが停電する
エアコンが停電する -
トランジスタのハンダが割れていた (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用

オートアンプ 28525-45V01 9926 890928C
(これは修理後の画像)
概要
2009年11月、お友達から部品取り用としてもらったオートアンプ(1個目)を直しました。しかしすでにイルミ球がすべて取られていて使い物になりません(笑)。
このオートアンプの型番は28525-45V01 9926
890928C。セド/グロ用、後席エアコン付きタイプです。
※2010年7月、このオートアンプは ばぶりーしーまさんに譲りました。
症状
・ エアコンが停電する。
・ 停電後はボタン操作ができない。
故障探求
今回もオートアンプに電源(DC13.5V)をつなげ、電流の変化に注視して調べてみました。電源はオートアンプコネクタAの端子No.1、2、3に+13.5V、端子No.8にアースをつなげました。
この項で登場する電流値 |
電流 |
状態 |
0.27A |
オートアンプに電源をつなげた状態(正常値) |
0.21A |
オートアンプに電源をつなげた状態(異常値) |
0.14A |
0.11A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(正常値) |
0.08A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(メイン基板に異常があるときの値) |
0.05A |
※いずれもイルミネーション電源はOFF。後席エアコンのコネクタは接続しない
※オートアンプの個体差および測定器の誤差があるので参考程度に |
1.症状の確認
電源をつなぐと電流は0.21Aになりました。これはちょっと微妙な電流値です。約1分経つと0.27Aになりました。この電流値なら正常です。

電圧13.50Vの電源をつないだら最初、電流は0.21Aになった(異常値)
(これは電源装置の画像)

約1分後に電流は0.27Aになった(正常値)
2.「エアコン」ボタンを押してみる
正常に表示しました。すべてのボタンを操作に正常に反応しました。
お友達は「停電する」と言っていたので、症状が出にくいとなると、直すのに時間がかかります。
ちなみに、温度調節ボタンを押しても操作音が鳴らないので、これはセド/グロ用みたいです。

正常だった
3.停電するかどうかケースをたたいてみる
直すには症状を再現させなければなりません。そのため、オートアンプのケースをたたいてみました。しかし停電しませんでした。別の再現方法を見つけることにします。
4.電源を入れ直してみる
一旦電源を切ってから約1分後に電源を入れてみましたが正常でした。
5.フタを開ける
このオートアンプはフタを開けた形跡がありませんでした。
開けやすくするため、ロックされている部分をニッパーで切り落としました。
フタはビスでも留まっているので、ロックを切っても大丈夫です。

フタを開けやすくするためにニッパーでロック部分を切り落とした
6.フタの内部を点検する
フタの内部にはススが付いていました。
もしも基板上の部品が焦げるなどしてススが出た場合は、その部品の周りにススが濃く付きます。この場合はススの付き方で原因の部品を絞り込むことができます。
しかし付着しているススは濃淡が無く均一なので、大気中のスス、特にタバコの煙に含まれるススではないかと思います。

ススは均一に付いていたので、おそらく大半はタバコの煙ではないかと思われる
7.部品を点検する
基板の部品面を見ましたが、焦げているものや切れているもの、液漏れしているものはありませんでした。
8.基板のハンダ面を点検する
ほとんどのハンダが劣化していました。
ハンダの盛り上がりを山に例えて言うと、山に雪が積もったような輪郭があるのはハンダ割れです。これは温度変化によってこうなります。
ハンダ表面がボロボロになっているのは、おそらく大気中のスス(特にタバコの煙に含まれる化学物質)が原因ではないかと思います。

ハンダがボロボロになっていた

これはひどい!。ほとんどのハンダがこのような状態だった
9.再び電源をつないでみる
電源をつないだら電流は0.22Aになりました。エアコンボタンを押すと薄暗く表示しました。これは別のオートアンプの症状と同じです。ということはトランジスタTR11付近のハンダ割れの可能性があります。

蛍光表示管の両端が薄暗くなった
10.基板を分離して電源をつなげてみる
オートアンプのメイン基板と蛍光表示管側の基板を切り離してから再び電源をつなげてみました。すると電流は0.11Aになりました。これは正常な値です。

正常値
11.基板を反らしてみる
症状が出ないので基板を反らして強制的に症状を再現させることにしました。
基板を反らしたときに電流が一瞬だけ0.08Aになるときがありました。部分的に何度も反らしてみて(反らしすぎに注意!)、場所を特定していきます。時には電流が0.05Aになるときもありました。しかし場所がなかなか特定できません。
そうこうしているうちに再現しなくなってしまいました。ハンダは柔らかいものだから、基板を反らしているうちに接触の悪かったハンダがくっついてしまったのかもしれません。こんな直し方もありかな?なんて思ってしまいました。
どうにかこうにかしているうちに、電流が再び0.05Aになって止まりました。0.05Aは別のオートアンプの症状その1、その2と同じなので、今回もトランジスタTR5のハンダ割れの可能性があることがわかりました。

別のオートアンプの症状に似ている
12.トランジスタTR5のどの端子か特定する
ここまでわかれば特定する必要はありませんが、今回もまたやってみました。
電流が0.05Aの状態からトランジスタTR5の各端子に触ってみます。
基板のハンダ面からトランジスタTR5のE(エミッタ)端子に触ったら0.11A(正常値)になりました。この後、再現しにくくなりましたが、これはハンダに触ったことで、悪かった接触が良くなってしまったからだと思います。
再び0.05Aになったときに、またE(エミッタ)端子に触ってみましたが、今度は変化しませんでした。
続いてトランジスタTR5のC(コレクタ)端子に触ったら0.11A(正常値)になりました。
B(ベース)端子は試していませんが、どうやらC(コレクタ)端子が停電の原因として一番怪しいと思いました。

トランジスタTR5のハンダ面
13.確認のためトランジスタTR11のパターンを切ってみる
薄暗く表示する症状の原因はまだ特定できていないので、調べてみることにしました。別のオートアンプの症状と同じなのでトランジスタTR11付近ということだけはわかっています。
とりあえずトランジスタTR11に的を絞ってB(ベース)端子の配線パターンを切ってみました。基板を分離しているときは電流は0.11A、蛍光表示管側の基板と接続しているときは0.22Aで、表示は薄暗くなりました。切ったパターンを元に戻して正常に戻ることも確認しました。
これにより、薄暗い表示になったときはトランジスタTR11のハンダ割れを疑えばよいことがわかりました。

トランジスタTR11(2SC945)の場所

症状の確認のためパターンを切ってみた(赤矢印のところ)
14.ハンダを補修する
停電はトランジスタTR5とTR11のハンダ割れがの原因だと特定できましたが、
メイン基板のすべてのハンダの状態が良くないので、ハンダ面のハンダをすべて補修することにしました。
チップ部品はハンダの溶かし直しのみで、それ以外の部品は、ひどいものは古いハンダを吸い取り線で吸い取ってから新しいハンダを盛りました。ひどくないものは古いハンダを溶かして新しいハンダを溶かし込みました。
原因
・基板上のトランジスタTR5(2SD789E)とTR11(2SC945)のハンダ割れ。
トランジスタTR5がハンダ割れすると・・・ 表示が停電してボタン操作を受け付けなくなります。
トランジスタTR11がハンダ割れすると・・・表示が薄暗くなります。ボタン操作は受け付けます。

オートアンプの基板(これをメイン基板と呼んでいる)
修理
メイン基板のすべてのハンダの状態が良くなかったので、ハンダ面のハンダをすべて補修しました。
チップ部品はハンダの溶かし直しのみで、それ以外の部品は、ひどいものは古いハンダを吸い取り線で吸い取ってから新しいハンダを盛りました。ひどくないものは古いハンダを溶かして新しいハンダ(無鉛ハンダではないもの)を溶かし込みました。

ハンダ吸取線で吸い取ったところ(写真中央)

新しいハンダを盛ったところ
(パワーソルダーはツヤがあまりない)
使った工具類
工具類 |
仕様 |
補足 |
ハンダゴテ |
goot CXR-30(改)
100V 30W
大洋電機産業株式会社 |
ハンダの吸い取りに使用 |
SURE SX-20A 18W
石橋電機製作所 |
ハンダ付けに使用 |
ハンダ |
goot パワーソルダー SE-26210PL
大洋電機産業株式会社 |
耐・熱疲労はんだ |
電源 |
菊水 PAN16-18A |
直流電源。お友達からもらったもの。 |
ハーネス |
点検用 |
ヒロポンさん提供 |
ハンダ吸い取り線 |
白光 No.87-3 Size#3-2 |
ハンダの吸い取りに使用
(ハンダ吸取器はお友達のクルマの中に置き忘れてしまったので使わなかった) |

修理済みだがイルミ球が無いので使えない(笑)
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