エアコンが変な動きをする
エアコンが停電して変な動きをする (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用

オートアンプ 28525-45V00 (後席エアコン付きタイプ)
概要
2009年10月、お友達のY31シーマのエアコンが停電してから変な動きをするするというので、オートアンプの基板のハンダ補修で直しました。
このオートアンプ(28525-45V00 9114 890117A)はお友達の愛車Y31シーマの元々のだそうです。
症状
・ エアコンが停電する。
・ 停電してから変な動きをする。
→内気循環のインジケーターが点く。
→ブレーキを踏むと音が出る。
故障探求
今回はオートアンプに電源(DC13.5V)をつなげ、電流の変化に着目して調べてみました。
この項で登場する電流値 |
電流 |
状態 |
0.28A |
オートアンプに電源をつなげた状態(正常値) |
0.13A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(正常値) |
0.05A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(メイン基板に異常があるときの値) |
※いずれもイルミネーション電源はOFF。後席エアコンのコネクタは接続しない
※オートアンプの個体差および測定器の誤差があるので参考程度に |
1.症状の確認
とりあえず電源をつないでみました。エアコンはまだOFFのままです。
IG電源ON → 0.28A
IG電源ON+イルミネーション電源ON → 0.57A
イルミネーション電源ONのときにちょっと多いような気がしますがこんなもんなのでしょう。
0アンペアではないので、ちゃんと回路に電気が流れているようです。

電源の表示。電圧13.50Vの電源をつなげると0.28Aの電流が流れた。
この電流を正常値として故障箇所を探ることにした
2.エアコンをONにしてみる
「エアコン」ボタンを押してエアコンをONにしました。
表示は正常でした。すべてのボタンを操作してみましたが、すべて正常でした。これにより、先ほどの電流値を正常値とみなすことにします。
このオートアンプはオフ会のときに診察したことがあり、その後持ち主がハンダの補修をしてからおかしな動きをするようになった経緯があります。診察のときもそうでしたが、自分がそばにいると症状が現れにくい変なオートアンプです。
症状が再現しないことが一番つらいです。
3.フタを開けてみる
フタを開けて基板を上下に押したり反らしたりしていじってみました。いじっている時に表示が消えることがありました。消えた時の電流は0.13Aでした。
メイン基板と蛍光表示管側の基板をわざと分離すると0.13Aになるので、基板間の接触が悪いだけかと思いました。基板どうしの接続部分に接点復活剤を塗布しておきました。

電源の表示。メイン基板をいじっているときに電流が0.13Aに減った。
どこか接触の悪いところがあるようだ

メイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したら電流が0.13Aになった。
ということは接続部分の接触不良か?
4.基板の部品面で調べてみる
蛍光表示管側の基板と分離したメイン基板をいじっていたら、電流が0.05Aになったり、また0.13Aに戻ったりすることがありました。その変化のしかたから、0.05Aのときは明らかに異常だと思いました(基板を分離しているので表示での正常・異常は確認できません)。

電源の表示。メイン基板をいじっているときに電流が0.05Aに減った。
どこかで部品切れかハンダ割れがあるようだ
どの部品が不良なのか特定するために、部品を一つ一つ触ることにしました。触る順番は大きな抵抗→トランジスタ類→小さな抵抗→・・・です。大きな抵抗が一番先なのは、発熱が大きいと思われるからです。発熱によってハンダ割れが生じる可能性が一番高いからです。しかし大きな抵抗は異常ありませんでした。
次にトランジスタ類。トランジスタに触った時に電流が0.05Aから0.13Aになりました。基板の部品面に「TR5」と書かれたトランジスタ2SD789Eです。この隣の電解コンデンサC4とC5に触った時も電流が変化しました。どうやらこの辺りに接触不良があるようです。
トランジスタTR5の周りの抵抗やダイオードにテスターのリード棒で触れてみましたが電流は変化しませんでした。
トランジスタTR5以外に力が加わらないようにしてTR5を手で引っぱったり押したりすると電流が変化するので、このTR5が一番あやしいと思いました。

このトランジスタを触ると電流が変化するからあやしい!
5.基板のハンダ面で調べてみる
電流が0.05Aになるように基板を反らすなどして異常状態を作り出し、基板のハンダ面からテスターのリード棒でハンダのランドに触れてみました。
一番あやしかったトランジスタTR5の「E(エミッタ)」に触れた時に電流が0.05Aから0.13Aになりました。これでここのハンダ付けが不良であるこがわかりました。

トランジスタTR5の「E(エミッタ)」に触れた時に電流が変化したので、ここに間違いない!

拡大画像。見た目ではわからないがハンダがちゃんとつながっていない
6.検証してみる
トランジスタTR5のハンダ付け不良が本来の原因だったのかを検証してみることにしました。トランジスタTR5の「E(エミッタ)」だけハンダを除去して再現するかどうか調べてみます。両面スルーホール基板なのでハンダの除去が難しかったので、「E(エミッタ)」につながっているパターンを切る方法にしました。すると電流が0.05Aになりました。やはりここが原因だったようです。この状態でメイン基板と蛍光表示管側の基板をつなげて表示を見てみました。すると、まったく表示せず、ボタンもまったく反応せず、操作音も鳴りませんでした。
トランジスタTR5の「E(エミッタ)」を切っただけで"完全な停電"になってしまいました。この状態での電流は0.15Aでした。
トランジスタTR5を元に戻したら正常になりました。このときの電流は0.28Aです。

本当にトランジスタTR5のところが原因だったのか検証するため、
TR5の「E(エミッタ)」につながってるパターンをカットしてみた
原因
・メイン基板と蛍光表示管側の基板をつないでいる接続端子の接触不良。
・メイン基板上のトランジスタTR5(2SD789E)の「E(エミッタ)」のハンダ割れ。
症状の項にあるような「変な動き」は確認できませんでしたが、接続端子の接触不良で起きる可能性はあります。接続端子の一部だけ接触不良になると内気循環の表示が点くことを確認しました。
修理
・メイン基板と蛍光表示管側の基板をつないでいる接続端子に接点復活剤を塗布した。
・メイン基板上のトランジスタTR5とその周りの部品のハンダを一度取り除き、新しいハンダを盛った。
これで基板を上下に押したり反らしても電流は変化しなくなりました。

直ったところ(自己診断機能起動時の表示)
使った工具類
工具類 |
仕様 |
補足 |
ハンダゴテ |
goot CXR-30(改)
100V 30W
大洋電機産業株式会社 |
30Wでは熱すぎるので素早く作業した。 |
ハンダ |
日本アルミット KR-19RMA
錫60% 0.8mm |
非塩素系高性能ヤニ入りハンダ |
電源 |
菊水 PAN16-18A |
直流電源。お友達からもらったもの。 |
ハーネス |
点検用 |
ヒロポンさん提供 |
テスタ |
サンワ PC510 |
デジタルテスター |
接点復活剤 |
サンハヤト PJK-145 |
接点復活王ポリコールキング スライド接点専用 |
ハンダ吸取器 |
白光 No.18G |
SPPON(すっぽん) |
ハンダ吸い取り線 |
白光 No.87-3 |
HAKKOWICK Size #3-2 |

オートアンプ 28525-45V00 基板の部品面

オートアンプ 28525-45V00 基板のハンダ面

最後に愛車に装着して確認。自己診断も正常だった
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