エアコンが停電する
エアコンが停電する -
トランジスタのハンダが割れていた (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用

オートアンプと検査で使った電源
概要
2009年10月、お友達のY31シーマのエアコンが突然停電したというので、オートアンプの基板のハンダ補修で直しました。
このオートアンプの型番は28525-45V00 0622 900627Aです。
症状
・ エアコンが突然停電した。
・ 停電後はボタン操作ができない。
故障探求
今回もオートアンプに電源(DC13.5V)をつなげ、電流の変化に着目して調べてみました。電源はオートアンプコネクタAの端子No.1、2、3に+13.5V、端子No.8にアースをつなげました。
この項で登場する電流値 |
電流 |
状態 |
0.28A |
オートアンプに電源をつなげた状態(正常値) |
0.14A |
オートアンプに電源をつなげた状態(異常値) |
0.12A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(正常値) |
0.05A |
オートアンプ内のメイン基板と蛍光表示管側の基板を分離したときのメイン基板側のみの電流(メイン基板に異常があるときの値) |
※いずれもイルミネーション電源はOFF。後席エアコンのコネクタは接続しない
※オートアンプの個体差および測定器の誤差があるので参考程度に |
1.症状の確認
電源をつなぐと電流は0.14Aになりました。ボタン操作しても反応せず、表示は出ません。つまり停電した状態です。

電圧13.50Vの電源をつないだら電流は0.14Aになった(異常値)
2.オートアンプのケースをたたいてみる
ケースをたたいたら電流が0.28Aになりました。これは前回修理したオートアンプと同じ値です。いまが正常な状態です。ボタン操作をすると正しく表示しました。しかし直したわけではないのでまた症状が現れる可能性大です。

オートアンプのケースをたたいたら0.28Aになった(正常値)
3.もう一度ケースをたたいて再現するか試してみる
エアコンをONにしたままでケースをたたいてみましたが停電しませんでした。いまは変化しませんが、最初にたたいて正常な状態に変化しているので、どこかで接触不良を起こしていると思いました。

この状態でケースをたたいてみたが停電しなかった
4.フタを開けてみる
フタを開けてすぐに電解コンデンサC3の被覆がおかしいのに気付きました。熱を帯びた可能性がありますが、破裂や液漏れはしていないようだったので交換はしません。

電解コンデンサの被覆がたるんで頭が飛び出していたが問題なさそうだ
5.基板のハンダ面を点検
ハンダを溶かし直した跡がありました。持ち主がやったのでしょう。ハンダブリッジ(つなげてはいけないところを誤ってハンダでつなげてしまったところ)を探しましたが、危ないところはありませんでした。
ちゃんとハンダが流れているのか疑問なところが何ヶ所かありました。

ハンダを溶かし直した跡があった

あちこちにハンダを溶かし直した跡があった。ちゃんとハンダが付いているか疑問だ

これはハンダ吸い取り線を使った跡か?余計なところにハンダが付いている
6.再び電源をつないでみた
電流は0.14Aでした。ボタン操作に反応しないので、停電したままです。またどこかで接触が悪くなったようです。

電源をつないだら、また停電状態になっていた
7.部品を一つ一つ触ってみる
テスターのリード棒で片っ端から部品に触ってみました。トランジスタTR13(2SD789E)に触れたときに電流が0.28Aになりましたが、また触れても0.14A(停電状態)になりません。

トランジスタTR13に触ったときに正常になったがここではないようだ
8.電源を入り切りしてみる
停電状態を再現させるために一度電源を切って5分くらいしてから再び電源を入れてみました。すると0.14Aになりました。この状態でトランジスタTR13(2SD789E)に触りましたが変化ありませんでした。
次にトランジスタTR5(2SD789E)に触れたときに0.28Aになりました。
9.部品を特定する
再確認のため電源の入り切りを繰り返しました。
そして何度もトランジスタTR5(2SD789E)に軽く触れただけで0.14A(異常状態)から0.28A(正常値)になりました。
これでトランジスタTR5に間違いないと思いました。

トランジスタTR5に軽く触っただけで状態が変化するのでここに間違いない
10.トランジスタのどの端子か特定する
ここまでわかれば特定する必要はありませんがやってみました。
メイン基板と蛍光表示管側の基板を分離しないとトランジスタTR5のハンダ面に触れないので基板を分離しました。電源をつなげると電流は0.12Aになりました(これは基板分離時の正常値)。

基板を分離して電源をつなげたら電流は0.12Aになった(正常値)

トランジスタTR5に触れると0.05Aになる(異常値)
トランジスタTR5に触ると0.05Aになりました。この状態で各端子に触ると、E(エミッタ)に軽く触っただけで0.12Aに戻りました。ここに間違いありません。
何回か試し、C(コレクタ)でもB(ベース)でもないことがわかりました。
これでトランジスタTR5のE(エミッタ)端子のハンダ付け不良(ハンダ割れ)と断定しました。

トランジスタTR5のE端子のハンダが割れていた
11.トランジスタTR5のハンダを補修する
トランジスタTR5の端子3本とも古いハンダをハンダ吸取器で吸い取り、新しいハンダを盛りました。
これでトランジスタTR5に触っても、基板を反らしても停電しなくなりました。
原因
・基板上のトランジスタTR5(2SD789E)のE(エミッタ)端子のハンダ割れ。
トランジスタTR5のE(エミッタ)端子の接触がなくなると、メイン基板上のHexインバーターHD14069UBPに電気が供給されなくなり、ボタン操作できない状態や停電状態になることがわかりました。これは基板のパターンを複数箇所カットして確認しました。
もし同じ症状になったらトランジスタTR5を疑ってみるといいと思います。

トランジスタTR5(2SD789E)の周辺回路図(関係ありそうなところのみ)
E端子でハンダ割れがあると赤矢印の部分が切れたときと同じ症状になる。
切れると赤矢印の部分につながっている図の右側部分に電源が供給されなくなり停電する

ハンダ割れのあったトランジスタTR5の位置
修理
・基板上のトランジスタTR5の古いハンダを吸い取り、新しいハンダを盛った。

ハンダを補修した(ちょっと盛りすぎた)
使った工具類
工具類 |
仕様 |
補足 |
ハンダゴテ |
goot CXR-30(改)
100V 30W
大洋電機産業株式会社 |
30Wでは熱すぎるので素早く作業した。 |
ハンダ |
goot パワーソルダー SE-26210PL
大洋電機産業株式会社 |
耐・熱疲労はんだ |
電源 |
菊水 PAN16-18A |
直流電源。お友達からもらったもの。 |
ハーネス |
点検用 |
ヒロポンさん提供 |
テスタ |
サンワ PC510 |
デジタルテスター |
ハンダ吸取器 |
白光 No.18G |
SPPON(すっぽん) |
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