エアコンは使えるが表示だけ出ない
エアコンが表示しない (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用
オートアンプ 28525-14V01 1404 910408A
(後席コントローラの無いタイプ)
概要
2009年10月、お友達のエアコンが停電するというオートアンプを預かり、基板のハンダ割れ補修で直しました。
症状
・ エアコンの表示が出ないだけで、その他はすべて正常に作動する。
故障探求
故障原因の調べ方は決まっているわけではありません。その時々によって探り方を変えています(というか思いつきで行動しているだけです)。
1.症状の確認
オートアンプを預かってからだいぶ日にちがたっていたので、どんな症状だったか忘れてしまったのと、時間がたって症状が変わっているかもしれないので、とりあえず電源をつないで症状を確認してみました。
すると、蛍光表示管の表示はまったく出ないのですが、ボタンには反応します。どうやら表示のみ停電しているようです。
2.消費電流の測定
電源をつなげたときにどのくらいの電流が流れるか調べることで、ある程度、正常・異常の判断ができます。
IG電源ON → 0.12A
IG電源ON+イルミネーション電源ON → 0.41A
電流が0Aのときも表示が出ない症状になりますが、電流は流れているのでほぼ正常と判断しました(回路に電気は行っているが表示されないだけと判断)。
どちらも電源電圧は13.5Vで測定しました(直流電源装置の出力電圧を13.5Vに合わせ、デジタル表示される電流値を読むだけです)。
3.フタを開けてみる
中身を確認するためにフタを開けてみました。そしてまた電源をつなげてみました。すると、こんどは表示はするものの、左右の端のところだけ暗くなっていました。
フタを開けるだけで症状が変わるのは、ハンダ割れを含む接触不良の可能性があるということです。
フタを開けて電源をつないだら端の部分が暗くなっていた
4.基板を反らしてみる
基板を上や下に押したり、反らしたりして症状が変わるか確認しました。
すると、基板を軽く上に持ち上げると正しく点灯することがありました。基板を上下に押した時に接触が変わるのは、大きく動くところ、すなわち基板と基板をつなげている端子部分です。このあたりのハンダに新しいハンダを溶かし込んでみましたが、症状は改善しませんでした。
基板を反らしたときも正しく点灯することがあるので、ハンダ割れが原因に間違いないと思いました。
このようなところが故障の原因になっていると思われる。
ちなみにここのハンダ補修だけでは直らなかった。
(これは蛍光表示管側の基板)
5.基板上の部品を触ってみる
基板上の部品を手やテスターのリード棒で触ってみて、症状が変わるか確認してみました。
すると、トランジスタTR11(2SC945)付近の抵抗かダイオードに触れた時に正しく点灯しました。この辺りが一番怪しいと思い集中的にハンダの補修をしました。
TR11付近の抵抗かダイオードを触った時に症状が治った
原因
オートアンプの基板のハンダ割れ。特にトランジスタTR11(2SC945)付近の抵抗やダイオードのハンダ割れが原因と思われる。
修理
トランジスタTR11(2SC945)付近の抵抗かダイオードに触れた時に正しく点灯したので、この辺りが一番怪しいと思い集中的にハンダの補修をしました。
この他にもハンダの状態が悪いところがかなりあったので、チップ部品も含めて約8割方、ハンダの補修をしておきました。
直ったところ
使った工具類
工具類 |
仕様 |
補足 |
ハンダごて |
goot CXR-30(改) 100V 30W 大洋電機産業株式会社 |
30Wでは熱すぎるので素早く作業した。 |
ハンダ |
goot SE-26210PL 耐・熱疲労ハンダ「パワーソルダー」 1.0mm 大洋電機産業株式会社 |
ハンダ表面にツヤがなく、補修したところとそうでないところの区別が付きにくいところが難点。 |
電源 |
KIKUSUI PAN16-18A |
直流電源。お友達からもらったもの。 |
ハーネス |
点検用 |
ヒロポンさん提供 |
オートアンプ 28525-14V01 基板の部品面
オートアンプ 28525-14V01 基板のハンダ面
最後に愛車に装着して確認。自己診断も正常だった。
ボタンがないので後席エアコンは使えなくなるが、このオートアンプでもエアコンは使えた。
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