走行中に停電して外気導入に切り換わってしまう
エアコンが停電する (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用
概要
2007年8月、走行距離21万8千キロの頃、走行中にエアコンが停電するようになり、基板のハンダ割れ補修で直りました。
エアコンが停電するとオートアンプの表示がすべて消え、コンプレッサーも停止します。復旧すると何事もなかったかのように再起動します。ただ、停電前に内気循環にしていた場合は、外気導入に切り換わります。停電がほんの一瞬だけの時はただ単に外気導入に切り換わります(※)。
症状
1. 内気循環に設定していても勝手に外気導入になってしまう(※)。
これが初めに気づいた症状です。
実はこれは停電が原因なのですが、停電したかどうかわからないくらい一瞬なので、停電したことにはまったく気づきません。
勝手に外気導入になってしまうことことで、何かおかしいと気づきます。
2. オートアンプ(エアコンの操作パネル)の表示が、一瞬〜数秒間停電することがある。一瞬〜数秒後は再び元の表示に戻る。
これは停電していることがハッキリわかるほど悪化してきた症状です。
このときもやはり内気循環から外気導入に切り換わります(※)。
停電中はオートアンプの表示はすべて消えています。
停電中はエアコンのコンプレッサーも停止しています(音でわかる)。
停電中はエアコンのスイッチ類を操作しても受け付けません。
(※)エアコンの自己診断機能のユーザー要望対応機能によってキー「OFF」時の吸入口の位置を記憶させている場合は、内気循環のままとなります。
故障原因の探求
原因として初めに思いついたのはIG電源系統の停電です。
内気循環から外気導入に勝手に切り換わる症状は、電源を入れ直したとき(キースイッチを一度「OFF」にしてから再び「ON」にしたとき)と同じなので、初めはIG電源系統の接触不良を疑いました。
停電後は何事もなかったかのように再起動するので、ヒューズ切れではありません。しかし接触不良の可能性はあります。
エアコンのオートアンプのIG電源は、車室内のヒューズ#14(電子部品.IG)を通って来ます。ちなみにエアコン作動中にこのヒューズを抜くと停電し、ヒューズを元に戻すと再起動します。これは症状とまったく同じです。
ただし、この車室内のヒューズ#14の電源系統は、エアコン以外でも使っています。例えばオートクルーズの電源も同じなので、この電源系統が接触不良などで停電すると、オートクルーズは電源ONが解除されてOFFになります。
いまの症状は、エアコンが停電してもオートクルーズは解除されないので、狭い範囲の電源の停電だということがわかります。
よってオートアンプ内部の故障という結論に達しました。
なお、エアコンの自己診断機能は使いませんでした。
原因
オートアンプの基板のハンダ割れ。
基板の裏側の約半分をハンダの溶かし直し+ハンダ補充をしたら直りました。
費用
0円(ハンダごてとハンダが必要です)
修理

うちのシーマのオートアンプ

下側のビスを2本抜く

下側のブザーのコネクタを抜く

ツメ(上4カ所、下4カ所)を外す

中身を引き出す
基板の点検
・部品や基板が焦げていないか。焦げ臭くないか。
・部品に亀裂が入っていないか(特にカーボン抵抗器とガラス管ダイオード)。
・ハンダに亀裂が入っていないか(目で確認できるのは稀である)。
・コンデンサーは液漏れしていないか(周囲が腐食していないか)。
・コネクタのハンダ付け部分がグラグラしていないか。
・ホコリなどが付着して短絡(ショート)していないか。
特に異常が見られないときは、目に見えないハンダ割れと思われます。

これはハンダ面の拡大写真。
上の拡大写真において、赤い部分と黒い部分との間の抵抗をテスターで測っても導通がない(∞Ω)場合はハンダ割れです。赤い方を揺すってみると導通することがあります。
普段は正常に動いていて時々症状が現れるような場合は、ハンダ割れは起きていてもかろうじて導通はしているものです。ですからテスターの抵抗計で測ってもどこも導通しているはずです(0Ω)。
愛車もIG電源の停電に関係しそうなところはハンダ割れによる導通不良は確認できませんでした。
ハンダ割れの補修
ハンダ割れの基本的な直し方は、古いハンダを除去してから新しいハンダを付けます。
古いハンダは溶かしながらハンダ吸い取り器などで吸い取り、新しいハンダを溶かし込めばOKです。ただオートアンプの基板は表と裏で穴がつながっているスルーホール基板なので、ハンダが吸い取りにくい難点がありますので、無理に吸い取らなくてもOKです。
それで、とりあえず、基板の裏側の約半分をハンダを溶かして新しいハンダを付け足すことにしました。本当は古いハンダは除去した方がいいのですが、部品の足の間隔が狭いしやりにくい両面基板なので、除去はしませんでした。
それから、チップ抵抗などの小さい部品のハンダは現状のままにしました。小さい部品は熱に弱く、熱の伝わりが速いので溶かしていない方のハンダも溶けて部品が外れてしまうこともあるので、触らない方が無難です。

今回ハンダ割れ補修した部分(チップ部品を除く)
(マルチAVシステム車の場合、写っていない部分の大半は
CDオートチェンジャーコントロール関係)
基板の裏側の約半分の補修をしてからは、停電はまったく起こらなくなりました。
今回使った工具
工具 |
仕様 |
補足 |
ハンダゴテ |
100V 25W SURE SX-20A 石崎電気製作所 |
25Wでは少々熱すぎる感じがした。 |
ハンダ |
太さ1.0mm スズ60% 非塩素系高性能ヤニ入りハンダ KR-19 日本アルミット 「アメリカ軍のMIL規格が認めた世界最高の品質」 |
約15年前に買ったものなので使う前からハンダ割れしてたりして(笑)。 |

オートアンプの基板裏側
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