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公開日:2004年7月26日
最終更新日:2010年5月12日

夏場は危険と隣りあわせ

燃料系統の異音
(メンテナンス)

Y31シーマとY31セドリック・グロリアに適用


燃料タンクの熱が関与していた

症状

まずは、異音を聴いてください。

燃料系統の異音(wma形式、25秒、111KB)


異音の補足

走行距離:7.5万キロの頃に録音したものです。録音マイクはリア下部に設置。エンジンは切ってあります。それなのに音がしているのが異音です。燃料タンク内の異常な圧力によって異音が発生していることを証明するため、次の順に操作をしていますので、その音が入っています。

1.運転席ドアをあけ、フューエルリッドオープナースイッチで給油口のフタを開けた。
2.運転席ドアをしめた。
3.給油口のキャップを緩めた。このとき、大量に溜まっていた燃料蒸発ガスが水滴になるくらい吹き出し、異音は止まった。
4.給油口のキャップを締め、給油口のフタを閉めた。

燃料タンクは高温になっていますので、次から次へと蒸発ガスが発生します。
ガスを抜いても、数分後にはまた異音が鳴り出しました。

なお、サウンドは無修正です。ドアを閉めた時など一時的に音が小さくなっているのは録音機の特性によるものです。


費用

4,660円(税抜き) (直りませんでした)


経緯

以前、山坂道走行してエンジンを停止したら、リア下部から「グーグー」や「ブーン」という変な音がしました。約5分後に音が止みましたが、原因はわかりません。キーを抜いても変化はありませんでした。


圧力を抜くと異音は止まる

ある日、同様の症状が起きたので、燃料タンクのキャップを緩めたところ、蒸気が水滴になって噴き出しました。燃料タンクの圧力が高くなっているようです。よくガソリンスタンドで給油口のキャップを緩めたときに「シュッ」と音がしますが、そんな生やさしいものではありません。圧力を抜くと異音は止まるので、燃料タンクの内圧に関係があることがハッキリわかりました。山坂道の標高は約300〜1000メートルなので気圧の影響は多少あるかもしれません。しかし、緩めたキャップを締め、数秒から数分後に再びキャップを緩めても同様に吹き出します。燃料タンクの圧力がとても高く、膨張しようとしているのです。


鉄が焼けたような匂い

原因は何か。答えは、何かによって燃料タンクが熱せられているのです。「何か」とは排気熱が一番に考えられますが、燃料タンク直下のリアデフも発熱していると疑っています。リアアンダー付近から鉄が焼けたような匂いがします。山坂道は急カーブの連続もあるので、低速で走行していてもどこかに無理がかかっているのかもしれません。

燃料タンクは普通、燃料を吸い出すことによってタンク内は負圧になると思うのですが、燃料が暖まるとタンク内は膨張しようとすることによって正圧になるようです。


温度を測ってみる

温度ですが、燃料タンクの温度上昇が気になっていたので測定してみました。温度センサーを燃料タンク底面のリアデフに近いところに設置して計測してみました。5月朝の気温で1時間走行すると約35℃まで上昇。トランク床面のマフラーに近いところの温度は、同条件で約50℃まで上昇。3時間走行後ではタンクは約40℃、床面は約50℃になります。さらに、林道の山坂道では時速20キロ程度で走行してもタンクは最高約45℃、床面は測定限界を越えて70℃以上でした。5月の涼しい夜でもこの温度になったのには驚きました。


危険性は十分ある

トランク床面は熱しやすく冷めやすいのですが、燃料タンクは熱しにくく冷めにくい性質があります。長時間走行後、トランク床面に直に手を触れるとやけどします。タンクは、これがお風呂ならちょうどいい湯加減なのですが、ガソリンですから非常に危険な状態だと思います。燃料が熱せられてガスが抜けることで品質低下がし、それによって燃費が悪化することも考えられます。また、熱と膨張によって燃料系が破損する可能性があり、最悪の場合、思わぬ所からガスが吹き出し、引火爆発する恐れが十分にあると思います。


「チェックバルブを交換すれば直る」と言われて・・・

走行距離:8.4万キロの頃、異音を日産プリンスMAT店で聴いてもらったところ、「フューエルチェックバルブを交換すれば直る」と言われたので修理してもらいました。

請求金額:4,660円(税抜き)

日産プリンスMAT店

費目

コード

作業内容および部品名称

記号

数量

技術料

部品代

 

フューエルチェックバルブ

交換

 

2,550円  
1737010V01

バルブ

 

1  

2,110円

※法定24ヶ月定期点検(乗用車検)と一緒に修理をお願いした。




しかし、直らなかった

交換したものの、夏場のような気温が高い日にはまだ異音が発生します。熱の発生と伝達を抑えなければ根本的な解決にはならないのでしょう。


50〜70℃は当たり前?


後日、修理してもらったところとは別のディーラー、日産サティオKAS店に問い合わせたところ、「フューエルチェックバルブを交換しても直らない」とあっさり言われました。異音を聴いてもらったわけではありませんが、異音は蒸発ガスが吸気系に行くときの音で、特に異常ではないそうです。気温の低いときや、燃料タンクが負圧の時でも音がする可能性はあるそうです。また、エンジンを停止すると蒸発ガスは吸気されなくなるので、行き場がなくなって外に放出されるそうです。エンジン付近から燃料臭がするときはきっとこんな時なのでしょうか。また、同店によると、タンクの温度は車内の温度と同じくらい上昇するそうで、50〜70℃くらいはあたりまえだそうです。


データその1

走行距離:6.4万キロの頃の9月、200kmの道のりを、休憩2回20分(休憩中はエンジン停止)を含めて5時間走行。高速道路は使わず、主に国道を最高60km/hで走行。目的地の標高は約1,000mで、林道は急カーブ・急勾配の連続だが、舗装されており誰でも通れる観光用道路である。林道ではエアサスを「HIGH」にし、ATは2速、速度は濃霧で視界不良のため20km/hで登板。林道の途中でリアからの異音に気付き停車。その後ターボータイマーが1分半作動してエンジンが切れた。外は小雨。外気温は20℃前半。エンジンを止めると異音がよく聞こえる。キーを抜いても音は止まないので関係ないようだ。左右のリアタイヤのちょうど中間付近、いわゆるデフの付近から「ブー」(時には田んぼで低い声で鳴くカエルの様な「グー」や「がー」)という低くて大きい音がする。リアの右下からデフ付近を覗くと、鉄を焼いたような臭いがし、顔には熱気がモヤモヤ伝わって来る。かなり高温になっている様子。トランクルーム内の底や燃料タンクのある付近を触るとかなり熱く、タンクに直接触ると火傷する恐れがあるほど。かすかにガスの臭いがするため、燃料タンクのキャップを緩めてみると、ガスが液化するほど猛烈に吹き出した。それと同時に異音が鳴り止んだ。しかし、キャップを閉めてから30秒でまた異音が発生。キャップを開け、ガスを抜き、キャップを閉める、を5回繰り返してもまだ異音がする。ただ、回数を増すごとにキャップを閉めてから異音が発生するまでの間隔か5秒ずつ長くなってゆく。「異音」は「燃料タンクの内圧」に関係あり、「燃料タンクの内圧」はデフ付近の「熱」に大いに関係あるようだが、それがなぜ「音」を発生させるのかが不明である。

この異音は、日常の平地走行時では一切再現しないので特に問題ないと思われるかもしれない。しかし、山歩きとドライブが好きな自分は、異音だけでなく燃料タンクの異常と思える高温と高圧が再び行楽地で起こる可能性があるため危機感を感じている。

このとき初めて日産プリンスMAT店に相談に行ったのですが、ディファレンシャルやエンジンタイミングなど、「特に異常なし」と言われました。それならば、ということで録音して聴かせることにしたのです。


データその2


走行距離:6.5万キロの頃の10月、外気温:15℃、異音は発生しなかったが、トランク後方底部分は最高39℃。トランク左側のマフラー付近は最高64℃。燃料タンク外側の温度は、最高44.2℃まで上昇した。熱源はディファレンシャルではなく、マフラーだったようだ。

そして、平地でも気温が高い日は3時間も走行すれば燃料タンクが40℃以上になることがわかった。燃料タンクは、熱しにくく冷めにくいようで、2時間エンジンを停止しても3℃くらいしか下がらない。その点、トランク内の温度は、熱しにくく冷めやすい。2時間で9℃くらい下がる。



ご注意

新聞によりますと、セルフ式スタンドで給油中に給油口付近から静電気で発火する事故が相次いでいます。このページにあるように異音が発生したからといって、静電気対策もしないで給油口を開けることはしないでください。



おまけ:カー用品雑誌からの回答


雑誌の読者コーナーに投書したところ、「今月のナイスクエスチョン!」として次のような回答が掲載されました。参考にしてください。

Q.
ふと気になったので、ガソリンタンクの底面に温度計を付けて3時間ほど走ったら、最高で55℃にもなりました。なんとお風呂よりも熱いんです。ガソリンだから非常に危険な状態だと思います。
燃料の気化による成分の悪化や、膨張による破損や、最悪爆発するおそれもあると思います。私のクルマでは、エンジンを切ったときに下部から異音がします。これって異常ですよね?
ディーラーで聞いたら「基本的に車内と同じ温度になるので、駐車中なら50℃〜70℃はあたりまえ」という答えが返ってきました。ホントかなぁ?

A.
ガソリンはきわめて自然発火しづらい燃料で、そのバロメーターとなるのがオクタン価。オクタン価が高いということは、点火プラグで着火するまでは燃えないことを意味しています。着火前に燃えるのをノッキングといいますよね。
とある資料によると、真夏の燃料タンクの中は60℃ほどになるそうです。でも、ガソリン自体は着火点が300℃前後と高いうえに酸素がないと燃えないので、どんなに気温が高くても爆発することはありません。
また、ガソリンの蒸発量は、70℃以下で10%未満と少ないうえに、燃料タンクには気化したガスを外に排出するシステムが備わっているので、膨張してドッカーン!なんて心配も一切不要。ついでに、クルマに銃弾を撃ち込んだから大爆発なんて映画でよく見るシーンも、現実にはあり得ない大ウソなんですヨ。



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