設定温度を高くしても冷たい風が出る
エアコンの吹出風温度がおかしい (メンテナンス)
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Y31シーマおよび Y31セドリック/グロリアのオートエアコン・ITエアコン搭載車に適用
症状
1. 設定温度を高くしても冷風しか出ない。まれに温風が出る。
2. 設定温度を最高にしても約30秒待たないと温風が出ない。
3. 温風が出ているときに設定温度を低くしても冷風に変わらない。
4. リアの吹出風温度もおかしい。
5. エアコンの自己診断機能で「26」が表示される。
原因
エアミックスドアアクチュエーター内部の基板上の接触不良。
エアミックスドアアクチュエーターに組み込まれているPBR(Potentio Balance Resistor)と呼ばれるセンサー回路の接触不良が原因でした。

フロントエアミックスドアアクチュエーターを分解したところ 赤い矢印の先でハンダとパターン間の接触不良があった

リアエアミックスドアアクチュエーターを分解したところ 赤い矢印の先で基板の表裏間で接触不良があった
修理
※同じ症状が出ている場合は、エアミックスドアアクチュエーターの「故障かなと思ったら・・」を参照し、点検してみてください。
エアミックスドアアクチュエーターのコネクタを点検してみました。すると、PBR出力が0Vのまま変化しないことがわかりました。設定温度を最低にしたり最高にしたりしてもエアミックスドアが動かないのは、アクチュエーターの故障ではなく、PBR(センサー)の故障だったようです。ちなみに、PBR出力が0Vのままでも、設定温度を最高にしてから約30秒後にエアミックスドアがFULL HOT側に移動しました。エアコンのフェイルセーフ機能みたいなものが作動してこのようになるようです。
エアミックスドアアクチュエーターを取り外す
グローブボックスを外すとアクチュエーターが現れ、動作の確認やコネクタの点検ができます。アクチュエーターを取り外すには3つのビスを(プラスドライバーまたは8mmレンチで)外しますが、黒いアクチュエーターカバーが邪魔をして右側のビスが外せません。センターのパネルとオーディオも外すとアクチュエーターカバーを留めているビスが見えますので、上側のビスだけでも外してカバーを右側にずらします。こうすることでセンター側からもビスを外すことができるようになります。
 エアミックスドアアクチュエーターを取り外すには黒いアクチュエーターカバーが邪魔になる。 カバーを留めている上側のビスを外して右にずらすと作業がしやすい
 フロントエアミックスドアアクチュエーターを取り外したところ
 ロッドに刻まれているギザギザはらせん状ではないので、回しても長さは変わらない
エアミックスドアアクチュエーターを分解する
注意点として、適切なドア開度を保てなくなる可能性がありますので、アクチュエーター本体からアームは絶対に外さないでください。
アクチュエーターの外から見えるビスをすべて外し、フタを開けます。 テスターを使って内部の導通をチェックしていきます。
もしもアームが邪魔でビスが外せないときは、12V電源または9V乾電池でアームを動かします。エアミックスドアアクチュエーターコネクタを参照して端子No.4と5に電源をつなげます。プラスとマイナスの向きはアームを動かす方向によって変わってきます。内部のモーター回路の故障でまったく動かない場合は無理にこじ開けるしかありません。
 チェックしているところ
 ここのハンダとパターン間で接触不良があった。 手で基板を曲げるとつながったりつながらなかったりした
目視では全然わかりませんでしたが、テスターで探ってみて基板上のハンダとパターン間で接触不良がありました。基板をすこし歪ませるとつながったりつながらなかったりします。ハンダがもろくなってひび割れを起こしたのだろうと思います。短いジャンパー線で補修しました。心配でしたので、すべてのハンダを一度溶かし直しました。本当は古いハンダは全部吸い取り、新しいハンダを盛るのが良いようです。
修理後は適切な温度調節をしてくれるようになりました。
なお、修理しても直らなかった場合は、オートアンプの基板のハンダ割れもご覧ください。
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関連ページ
基本資料 〜 エアコンの自己診断機能
コネクタ表 〜 オートアンプ
コネクタ表 〜 エアミックスドアアクチュエーター
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